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運営者:パプリカ
・板前一筋22年
・ふぐ免許保有
・料亭、ミシュラン店、会員制クラブ勤務
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「お客様に感動を与えるお店」とは? 成功する飲食店の秘訣


「感動」は料理だけでは生まれない

「いいお店だったね。」

お客様にそう言ってもらえる店を作るには、何が必要なのでしょうか?

私が料理の道に入った頃、親方や先輩からは「とにかく美味しい料理を作れ」「味で感動させろ」と教え込まれました。

確かに、絶品の料理を提供すれば「美味しい!」と喜んでもらえます。しかし、それだけで「また来たい」と思ってもらえるでしょうか?

料理の美味しさは、店の価値を決める重要な要素の一つです。しかし、お客様が本当に求めているのは「料理の味」だけではありません。

料理の味——前提となるのはおいしさ
接客の質——心地よいサービスの提供
店の空間——雰囲気や演出などの居心地

これらがすべて揃って、初めて「感動するお店」になるのです。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

 【詳しいプロフィールはこちら】

本記事では、お客様が「また来たい」と思う店作りのポイントを具体的に解説していきます。


目次(INDEX)

飲食店の感動を生む三つの要素

① 料理のクオリティ|「また食べたい」と思わせる味

料理の美味しさは、店の根幹です。どれだけ素晴らしい接客や空間があっても、料理そのものに魅力がなければ、お客様の記憶に残ることはありません。

そのため、食材の鮮度、火入れの加減、味付けのバランス——すべてに妥協しないことが大前提です。

しかし、感動を生む料理とは、ただ「凝った料理」や「高級食材を使った料理」ではありません。お客様が求めるのは、「気取った料理」ではなく、「心に残る料理」だからです。

ホッとする味——懐かしさや温もりを感じる料理
季節を感じる一品——旬の食材を活かし、五感で楽しめる料理
ちょっとした驚きがある盛り付け——視覚的な工夫や遊び心のある料理

例えば、冬なら昆布とカツオの出汁がしっかり染みた熱々のおでん。春なら、桜の香りがほんのり漂う茶碗蒸し。こうした料理は、単なる「美味しさ」を超え、記憶に残る一皿になります。

また、お客様が「次に何が出てくるのか」と期待を持てるように、コース料理の流れも重要です。

  • 最初の一品で驚きを与える——見た目はシンプルながら、口に入れた瞬間に広がる意外な風味の一品
  • メインで満足させる——ボリュームや味の満足感をしっかり提供
  • 最後のデザートで心を和ませる——甘さ控えめで、食後にちょうど良い軽やかさ

このように、一皿一皿に「ストーリー」を持たせ、味覚だけでなく、心に響く体験を提供することが、「また食べたい」と思わせる鍵になります。


② 最高の接客|「また会いたい」と思わせる人間力

どんなに美味しい料理を作っても、接客が雑では台無しになります。

お客様は「料理」を味わうだけでなく、「素敵なサービスをもう一度体験したい」「覚えていてくれるのが嬉しい」と、信頼できるシェフや魅力的な女将たちに会いに来ます。

私が修業していた店の親方も、よくこう言っていました。

「料理は板前が作るもの、店の雰囲気はホールが作るもの、お客様の気持ちは全員で作るもの」

つまり、お客様の満足度を決めるのは、店全体のチームワークなのです。

笑顔で迎える——お客様が入店した瞬間に「歓迎されている」と感じられるか
目配り・気配り・手配り——お客様を常に意識し、気持ちを汲み取り、声をかけられる前に動く
お客様に合わせた接し方をする——初めての方と常連では、コミュニケーションの仕方を変える

例えば、来店したお客様が、「前回の料理が美味しくて、また来ました」と言ってくださいました。その方が以前頼んだメニューを覚えていたので、

「今日は、前回の○○とは違うアレンジでお作りしましょうか?」

と提案したところ、大変喜ばれました。

「自分のことを覚えてくれている」と感じてもらえることは、料理の味以上に心に響くものです。

特別なもてなしをしなくても、ほんの一言や気遣いが「また会いたい」と思わせる接客につながるのです。


③ 空間と時間の演出|「また来たい」と思わせる居心地

料理の味や接客が素晴らしくても、「空間」と「時間」の演出が不十分だと、お客様の満足度は下がります。

逆に言えば、料理・接客・空間のすべてが調和したとき、本当の「感動」が生まれるのです。

料理の提供タイミングが絶妙——待たせすぎず、急かしすぎない
店内の温度や照明が心地よい——料理がより美味しく、心落ち着く環境作り
BGMや器の音まで計算されている——五感で楽しむ食の空間

例えば、私の店では、料理を出すスピードをお客様に合わせて調整しています。

  • お酒をゆっくり楽しむお客様 → コースの流れを少し緩やかにし、会話を邪魔しない
  • 仕事帰りでサクッと食べたいお客様 → 料理をテンポよく提供し、スムーズな食事の流れを作る

また、カウンター席では、板前の動きや会話も「演出」の一部になります。

例えば、お客様が料理を口に運ぶ瞬間を見て、

「それ、今日は特にいい食材ですよ」

と一言添える。すると、お客様は料理の味にさらに意識を向け、記憶に残りやすくなります。


まとめ|感動を与える店は「総合力」で決まる

「また食べたい」と思わせる料理——味だけでなく、記憶に残る料理
「また会いたい」と思わせる接客——一人ひとりに合わせた気遣い
「また来たい」と思わせる居心地——空間と時間の演出で最高の体験を提供

これらが揃って、初めて「感動」が生まれます。

だから、私は今日も厨房に立ちます。
ただ料理を作るのではなく、お客様に「また来たい」と思ってもらえるように——。

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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