先輩!このお椀、カッコいいっすね!
それが輪島塗だ。蒔絵や沈金という技法で伝統工芸品の1つだ。
日本の伝統工芸品である漆器は、その美しさと機能性で多くの人々を魅了しています。
板前としても、使用する機会は多く「漆器の良さ」はご存知のハズ。
しかし、漆器の歴史や詳しく特徴までを知る人は少ないでしょう。
漆器(しっき)とは、漆(うるし)という木の樹液を木地に塗り重ね、金粉や貝殻などを用いて加飾する工芸品の総称です。
お椀や重箱、家具、内装まで幅広く使われ、職人の繊細な技術が求められる高級品です。
また、漆に勝る合成塗料は開発されていないと言われ、食器として極めてすぐれた機能を有しています。
【漆器の特徴】
- 色彩や質感が変化してゆく
- 軽くて割れにくい
- 断熱性があり、熱さを感じにくい
- 手触り、口当たりが良い
- 抗菌作用がある
この記事は、重要なポイントだけをまんべんなく書いています。
最後まで読むことで、後輩にドヤ顔できること間違いなし!です。
漆器とは?漆器の基本【工程と歴史】
漆器とは、ウルシの木から採れる天然の樹脂を塗り重ねて作る日本の伝統工芸品です。縄文時代から日本人の生活に深く根付いており、その美しさと機能性は世界に誇れるものです。
【漆の基本】
漆(うるし)
- 特殊なカンナで木の幹に傷をつけ、染み出る樹液。
- 樹液は塗料や接着剤として使われる。
- 国産の漆は少なく、98%が中国からの輸入品。
生漆(きうるし)
- 漆の樹液をろ過しただけのもの。
- 黒っぽくて粘り気があり、漆器の下地に使われる。
- 素地に浸透しやすく、強度や密着性を高める。
透漆(すきうるし)
- 生漆を加熱して水分を蒸発させたもの。
- 飴色で透明感があり、漆器の仕上げに使われる。
- 顔料を混ぜることで、赤や黒や緑などの色に染めることができる。
【漆器の製造工程】
- 削る(木地職人)木を削り素地を作る。
- 塗る(漆職人)漆を何度も重ね塗る。
- 加飾(蒔絵職人、沈金職人、螺鈿職人)呂色、蒔絵、沈金、螺鈿で飾る。
【漆器の歴史】
縄文時代
最古の漆器は、約9000年前の縄文時代。
容器や装飾品として利用。
飛鳥・奈良・平安時代
仏教が伝来し、漆器は芸術的な役割を示す。
螺鈿や蒔絵などの加飾技法が用いられた。
建物や仏像、調度品などに漆器が使用された。
鎌倉・室町時代
工程の分業化により蒔絵や螺鈿の技術が向上。
武士や貴族の生活道具にも漆が用いられた。
「根来塗(ねごろぬり)」という技法が誕生。
江戸時代
幕府の政策で、漆器づくりを各藩が奨励。
各地域で独自に発展し、特色ある漆器が誕生。
明治以降
万国博覧会で漆器は高く評価。
工芸としての地位の確立。
近代的な漆器、西洋風の漆器の登場。
平成以降
生活様式の変化によって漆器の需要は減少。
後継者不足、技術継承が課題。
漆器の特徴と手入れのコツ|注意点
漆器の特徴は「強くて美しい」
特徴①【強い】
- 熱や酸、アルカリ、アルコールにも耐性がある。
- 木や紙などの素材を漆で覆うことで、割れや傷から守る。
- 熱を伝えにくく、熱いものを入れても持ちやすい。
- 抗菌や殺菌の効果があり、お節などの重箱に適する。
特徴②【美しい】
- 光沢があり、色や質感が豊富。
- 金箔や貝殻などで装飾できる。
- 使うほどに色や光沢が変化し、味わい深い器になる。
漆器の手入れのコツは「水分と日光」
【漆器の取り扱い注意点】
水分に注意する
耐水性は高いが、長時間の浸水と煮沸には弱く、剥がれたり、ひび割れの原因となる。
日光に注意する
直射日光にも弱く、変色とひび割れの原因となる。
電子レンジと食洗機は使わない
剥がれ、ひび割れ、変色の原因となる。
【洗浄と保管方法】
- 柔らかいスポンジと中性洗剤で洗う。
- 水気を拭き取ってから乾かす。
- 直射日光の当たらない場所に保管する。
- 重ねる際は布を挟んで仕切る。
漆器は丈夫で美しい器ですが、水分や日光に注意してお手入れすることが大切です。漆器を大切に使うことで、漆器の魅力をより長く楽しむことができます。
【塗り方による分類】漆器の種類
日本各地で歴史のある漆器は、数多くの種類があります。
参考画像 | 名称 | 特徴 |
---|---|---|
曙 あけぼの | 下塗りに赤 仕上げに黒 下塗りの赤が 少し見える | |
根来 ねごろ | 下塗りに黒 仕上げに赤 下塗りの黒が 少し見える | |
真塗 しんぬり | 総黒仕上げ 漆黒 透漆に鉄粉を 混ぜ酸化させる | |
朱塗り しゅぬり | 総朱仕上げ 朱色の漆器 透漆に 朱色の顔料 | |
春慶 しゅんけい | 素地を塗り 仕上げ透明漆 木目が見える 塗り方 | |
溜塗 ためぬり | 素地を赤塗 半透明の漆で 仕上げる 深みある赤 | |
朱洗い しゅあらい | オレンジ色 透漆に 朱色の顔料を 混ぜて塗る | |
すり漆 すりうるし | 素地に生漆 すり込み乾かす を繰り返す 美しい木目 | |
古代朱 こだいしゅ | マットで 光沢なし 茶色に近い 朱塗り |
参考画像 | 名称 | 特徴 |
---|---|---|
曙 あけぼの | 下塗りに赤 仕上げに黒 下塗りの赤が 少し見える | |
根来 ねごろ | 下塗りに黒 仕上げに赤 下塗りの黒が 少し見える | |
真塗 しんぬり | 総黒仕上げ 漆黒 透漆に鉄粉を 混ぜ酸化させる | |
朱塗り しゅぬり | 総朱仕上げ 朱色の漆器 透漆に 朱色の顔料 | |
春慶 しゅんけい | 素地を塗り 仕上げ透明漆 木目が見える 塗り方 | |
溜塗 ためぬり | 素地を赤塗 半透明の漆で 仕上げる 深みある赤 | |
朱洗い しゅあらい | オレンジ色 透漆に 朱色の顔料を 混ぜて塗る | |
すり漆 すりうるし | 素地に生漆 すり込み乾かす を繰り返す 美しい木目 | |
古代朱 こだいしゅ | マットで 光沢なし 茶色に近い 朱塗り |
【産地による分類】漆器の種類|四大漆器
漆器の産地は日本各地にありますが、「漆の木」と「原料の木地」の産地が発展した経緯があります。
以下では、特に「日本の四大漆器」と呼ばれる産地を紹介します。
①石川県「山中漆器」・「輪島塗」
- 石川県は、日本有数の漆器の産地。
- 山中漆器は、加賀百万石の文化を受け継ぎ、金箔や蒔絵などの華やかな装飾が特徴。
- 輪島塗は100を越える工程を全て手作業で行う伝統工芸品で、漆器の最高峰。
②福島県「会津漆器」
- 日本最古の漆器の産地(16世紀)。
- 色漆を用いて筆で模様を描いく漆器は特徴的。
③福井県「越前漆器」
- 合成樹脂による大量生産化。
- 素地、塗り、加飾全て分業化が特徴。
④和歌山県「紀州漆器」
- 和歌山県は、日本最南端の漆器の産地です。
- 紀州漆器は、紀州藩の文化を受け継ぎ、白漆や朱洗いなどの明るい漆器が特徴です。
【加飾技法による分類】漆器の種類
【加飾技法】蒔絵(まきえ)
漆で描いた模様に金属粉を蒔き、固める技法。華やかで豪華な装飾技法。
平蒔絵(ひらまきえ)
漆で描いた模様に金属粉を蒔いて、漆を再塗布して蒔絵が剥がれないようにする技法。
蒔絵部は土台よりも盛り上がり、凹凸がある。
研出蒔絵(とぎだしまきえ)
漆で描いた模様に金属粉を蒔いて、漆を全面に塗り、硬化後に蒔絵部を研ぎ出す技法。
朧げで優しい印象で、全面の凹凸がない。
高蒔絵(たかまきえ)
蒔絵を高く盛り上げ立体的に見せる高度な技法。
立体的になる部分に下地の漆を塗り、乾燥させてから平蒔絵を描く。下地を用いるため研ぎの工程が増え、素地や塗面に傷が付くリスクも増える。
【加飾技法】沈金(ちんきん)
漆塗面を刃物で彫り、漆を流し金箔を埋める装飾技法。
細やかで繊細、光の反射で模様が浮かび上がる。
金以外の銀や銅なども使われる。
①漆塗面を彫る
②漆を流し込む
③金箔を全体的に貼り付ける
④乾燥させる
⑤彫っていない部分の金を磨き落とす
⑥彫りの部分だけに金が残る
【加飾技法】螺鈿(らでん)
貝殻を用いた装飾技法。
貝殻の内側の七色に光る部分を磨く。貝殻の種類や光の角度によって、色味と輝きが異なり幻想的。
「螺」は貝を、「鈿」は装飾を意味する漢字である。使用する貝殻は鮑(アワビ)、夜光貝(ヤコウガイ)など。
【その他の加飾技法】
・彫漆(ちょうしつ)
漆を塗り重ね、その漆に文様を彫る技法。
・蒟醤(きんま)
漆を塗り重ね、その漆に文様を彫り、色漆を塗り込み、研ぎ出す技法。
・平文(ひょうもん)
薄い板状の金属を文様の形に切り、漆を塗り研ぎ出す技法。
・堆錦(ついきん)
漆を焼き、顔料で着色し、粘土状にしたものを、平たく伸ばし模様に型取り、漆器に貼り付ける琉球漆器の技法。
【漆器の特徴:まとめ】
漆器は、ウルシの木から採れる天然の樹脂を塗り重ねて作る日本の伝統工芸品です。
【漆器の特徴】
- 断熱性がある。
- 丈夫で長持ちする。
- 美しい光沢と色彩がある。
- 手触りや口当たりが良い。
漆器は、縄文時代から現代まで、日本各地で独自の文化や技法を発展させてきました。漆器の種類は、漆の色や塗り方、加飾技法、産地によって分類できます。
漆器は日本の四季や食文化にも合う器です。漆器を使って、日本の文化を楽しみましょう。.
このようなウンチクが、相手に知的な印象を与え、自分に自信を持つ根拠となります。
板前に勉強は尽きません。
お気に入りの漆器をひとつ、自分用に買って普段から使ってみるのもオススメです。