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【板前の格言】一流の板前になるための心構え

お客様に喜びと感動を与え、
仲間から尊敬と信頼を得て、
会社に貢献して利益を残す。

そのような立派な板前になるためには、
プロの料理人として覚悟が必要です。

覚悟という言葉ではなく、
心構えや心得、あるいは哲学などと言い換えても差し支えありません。

それらの心の持ち方は、
高い技術や深い知識の習得、
人格形成から信頼の獲得までにも、
大きく影響を与えます。

僕は20年以上の板前経験から様々な人と出会いました。
しかし、「もう一度あの人と働きたい」と思えるような板前は限りなく少ないのが現実です。

  • 魚を捌くのがべらぼうに早い人。
  • 野菜の飾り切りが芸術的に得意な人。
  • 抜群のコミュ力でお客様を笑顔にさせる人。
  • 的確な指示を出すのが上手い人。

そのような素晴らしい技術を持っていても、

  • 人を見下し暴力を振るう人。
  • 自己中心的で横柄な態度を取る人。
  • 上の前だけ都合の良い表裏がある人。
  • 他を顎で使い己は働かない人。

人格が尊敬できる板前がいない。

もちろん、主観的な人間関係の思いもありますが、総じて「仕事ができて、尊敬できる人」がいないと感じています。

これから、日本料理界を担う若者にはそのような人になって欲しくありません。

以下に紹介する「板前の心構え」は、
僕自身も決して忘れてはならない、
大切な言葉であり、その意味と共に解説します。

目次(INDEX)

人間性】人格者として
尊敬される板前になる

信頼関係は言葉よりも行動で築かれます。
お客様や仲間に対して、約束を守るのはもちろん、常に誠実で丁寧な態度を心がけましょう。
日々の言動を通して、信頼できる人であることを証明することが大切です。

技術は努力で習得できますが、人格は日々の積み重ねでしか磨けません。
本当に技術のある板前は少なく、人格を伴う板前はさらに少ないことを表します。どんなに優れた技術を持っていても、傲慢な態度では台無しです。常に謙虚な姿勢を忘れず、人格形成にも力を入れていきましょう。

自分の技術や地位に驕ることなく、謙虚さを失ってはならないという教えです。
どんなに技術が高くても、驕り高ぶることは尊敬に値するはずもなく、信頼も築けません。常に謙虚な気持ちで、周囲から学ぶ姿勢を忘れずに努力を続ければ、必ず成長することができます。

新しいことを学び、完成度を高める原動力は好奇心です。
現状に満足せず、常に新しい知識や技術を貪欲に学びましょう。
好奇心を持ち続け、新しい料理や技法に挑戦することで未来が切り開かれます。

自己研鑽は終わりなし。
自己満足に陥らず、常に自己改善を目指しましょう。日々の業務の中で、常に自分の弱みや課題を見つけ、克服するために努力が必要です。努力を重ねることで、自分自身を磨き、より高みへと成長することができます。

感情に流されず、冷静に対応することで、プロとしての姿勢を保つことができます。
どんな状況でも、冷静さを失わず、感情をコントロールすることが大切です。お客様の前では常に笑顔を絶やさず、調理場では状況や優先順位に応じた的確な判断が求められます。

言葉はコミュニケーションの礎。
言葉遣いには人格や教養が現れます。時に相手を傷付けてしまうため、言葉選びは慎重に。相手を尊重すれば、円滑なコミュニケーションを図ることができます。

誰にでも「ありがとう」と「ごめん」が言える。
慣れてくると「当たり前に感謝し、非を認め謝る」ことを恥じ、忘れてしまうものです。新人の頃の純粋な気持ちは持ち続けなければなりません。

【技術】他を魅了する
技ありの板前になる

板前の真骨頂は繊細な包丁。その包丁の基本技術は、
桂剥きと妻打ち
です。薄く、細く、ツヤがある大根のケンが打てるようになるまで徹底的に練習しましょう。

包丁の切れ味を復活させる砥石の命は平らであること。
板前の相棒である包丁のメンテナンスは、砥石が平らであることが何よりも重要です。
歪んだ砥石は、包丁も歪ませます。砥石の面を平らに保ち、鋭い切れ味の包丁を使うことは、料理の質にも直結します。

砥石について詳しく

包丁には様々な種類があり、それぞれ特定の用途があります。
魚を捌くのか、野菜を切るのか、それぞれに適した包丁を使うことで、作業の効率と料理の質が向上します。適切な包丁を選択し、それを最大限に活用することが大切です。

包丁の種類について詳しく

料理の仕上がりは、仕込みで決まります。
材料の下処理や調味料の計量など、仕込みの工程を丁寧に行うことで、料理の完成度が格段に上がります。手間がかかり、面倒だからこそ他との違いが明確に。仕込みを軽視せず、手を抜きのない仕事をするのが一流です。

調理場では、効率的な段取りが求められます。
全体の流れや優先順位を考え、時間を有効に使うことが必要です。冷静に状況を把握し、最適な段取りを組むことで、スムーズに作業を進めることができるでしょう。

技術の習得は、教えてもらうことを待っていたら遅すぎます。
手順や加減を繰り返し盗み見て、自分自身で実践することが最も効果的です。
受け身ではなく、自ら積極的に先輩を真似ることから始めましょう。模倣を通じて、技術のコツやノウハウを自分のものにすることができます。

料理の技術は、聞いたり見たりするだけでは十分に習得できません。
百聞は一見に如かず」ではなく、
「百見は一経験に如かず」

百回聞くより一度見る、百回見るより一度やってみる。自ら手を動かし、実際にやってみることが最も重要です。失敗を恐れず、何度も挑戦することで、技術は自然と身についていきます。

【知識】道理を深く理解し
自信のある板前になる

知識の深さは料理の質に直結します。
食材の特性、調理法、栄養学など、あらゆる方面からの知識は、料理をより深いものにします。ただ料理を作るのではなく、どうしてその工程が必要なのか、なぜそのタイミングなのか、を理解することで、板前としての自信が深まります。

料理に関するうんちくは、コミュニケーションの一環として役立ちます。
お客様や仲間に対して、食材や料理の雑学を説明することでコミュニケーションを図れます。料理に対する興味を引きつけ、時に尊敬の眼差しを向けられることでしょう。

日本料理では、四季折々の食材を大切にします。
旬の食材は最も美味しく、栄養価も高いです。それぞれの季節の特徴を理解し、旬を活かした料理を提供することが、お客様に喜ばれる板前の姿勢です。常に季節感を意識し、料理に取り入れましょう。

器選びは、料理の見た目や印象を左右します。
器は料理を引き立てるための重要な要素であり、着物のように料理に合わせた選択が求められます。器の形や色、質感などを考慮して、料理と調和するものを選ぶことで、より美しい演出が可能です。

器について詳しく

板前として料理の腕を磨くことはもちろん重要ですが、同時に店に利益をもたらすことも大切です。
材料の適切な管理や無駄を減らす工夫、お客様の満足度を高めるためのサービスなど、店の経営に貢献する姿勢が求められます。自分自身の技術だけでなく、ビジネス感覚も持つことで、板前としての価値が高まります。

どれだけ経験を積んだとしても、知らないことはたくさんあります。
自分の知識や技術に自信を持つことは大切ですが、決して過信せず、常に学ぶ姿勢を持ち続けましょう。料理の世界は広く、探求する価値が無限にあります。天狗にならず、謙虚に学び続けることが重要です。

人間の記憶は不確かで、すぐに忘れてしまうものです。
料理の技術や知識をしっかりと記録し、メモを取る習慣をつけることで、確実に知識を蓄積できます。新しいことを学んだら、必ずメモを取り、後で見返すことで知識を定着させましょう。
1ヶ月毎日作った料理ですら、1年後には正確に思い出せないものです。メモは自分の成長を助ける大切なツールです。

【味】美味しい料理を作れる
板前になる

お客様が美味しいと感じる「的」に向け料理を放つ。
味覚は弓道の的に似ています。目指すのは的の真ん中ですが、外すことも、届かぬこともあるでしょう。

技術と知識を高め、命中率を上げること。さらにコミュニケーションによって的に近づくこと。

賄い料理は、新人の板前にとって実力を試す場です。
料理のプロである親方や先輩に食べてもらうため、評価が厳しい場合も多々あるでしょう。しかし、安価な食材や残り物を創意工夫し作る賄いは、大きな学びのある場です。賄いを甘く見ず、毎回真剣に作ることで、創造力と技術が鍛えられるのです。

料理の味は、加熱の時間や温度、調味料の量など、あらゆる要素の「加減」によって決まります。
過剰な火加減や味付けは、料理を台無しにすることがあります。料理の決め手は、細部に至るまでバランスを取ること。繊細な加減に注意し、素材の持ち味を引き出すことが、美味しい料理を作るためのポイントです。

美味しい料理の基本は、良い食材にあります。
素材の品質が高ければ、シンプルな調理でも素晴らしい料理が生まれます。目利き力を高め、丁寧な食材選びをすることが、最高の料理へと繋がります。余計な味付けや調理をせず、食材の本来の美味しさを引き出すことに焦点を当てましょう。

料理は、五感に訴えるものです。
見た目の美しさ、味の奥深さ、香りの豊かさ、食感の面白さ、そして咀嚼音の心地よさ。これらの五感に対する工夫が、料理を感動的なものにします。五感を意識して、食事全体を魅力的に演出することが、美味しい料理を作る板前の使命です。

【心構え】プロの自覚と
プライドを持つ板前になる

プロの板前として、まず第一に考えるべきは、料理の安心・安全です。
調理場のリスクを理解して、お客様の安心と従業員の安全を守らなければなりません。食材の衛生管理や調理時の注意、アレルギー対応などに細心の注意を払いましょう。安心安全な運営は、信頼される板前の前提条件です。

調理場のリスクについて詳しく

料理の評価は、食べる人の感じ方次第です。
自分の主観だけで判断せず、お客様の意見や感想に耳を傾けましょう。お客様の満足度を高めるために、フィードバックを受け入れ、常に改善を心がけることが大切です。

技術の習得には、繰り返しの練習が不可欠です。
毎日の業務を通じて、基礎を繰り返すことで、確実に技術が向上します。板前として成功するためには、忍耐強く努力を続けることが重要です。日々の繰り返しを軽視せず、基本を徹底的に磨きましょう。

成長するためには、厳しい環境に身を置くことが効果的です。
プレッシャーのかかる状況や、スキルの高い先輩と一緒に働くことで、自分自身の限界を超えて成長できます。一人前の板前を目指すなら、困難な状況にも果敢に挑戦しましょう。

小さな仕事や雑用を軽視してはいけません。
雑用を積極的にこなすことで、調理場全体の流れを理解し、チームに貢献できます。また、雑用をきちんとこなす姿勢は、信頼と評価に繋がります。雑用を怠らず、与えられた仕事を確実にこなすことが重要です。

板前として成長するためには、他人の良い部分を積極的に取り入れることが大切です。
優れた技術や効率的な方法を持つ同僚や先輩の行動を観察し、学ぶ姿勢を持ちましょう。他人の長所を自分のものにして、さらに自分の技術を磨くことが重要です。

他人のミスや問題点は、反面教師として活かすことができます。
他人の失敗から学び、自分が同じ過ちを犯さないように注意しましょう。反面教師としての視点を持ち、常に自己改善を意識することで、板前としての成長を促すことができます。

板前として、清潔感のある身だしなみは基本です。
清潔な白衣や前掛け、きれいな手や爪は、料理の安全性にも直結します。また、お客様や仲間に与える印象も大切です。常に身だしなみに気を配り、清潔で整然とした姿勢を保ちましょう。

基本的な作業を確実に行うことが、板前としての信頼に繋がります。
報告、連絡、相談はもちろん。会社やお店のルールは徹底して守りましょう。包丁の手入れや調理場の整理、食材の管理など、日常的な作業遂行で、確実な結果を得ることができます。凡事徹底は、社会人としての基礎であり、信頼される板前への道です。

調理場では、叱られることや怒られることがあるでしょう。
愛情からの指導と、感情的な怒りを区別することが重要です。愛情ある叱りは、成長のための助言であり、真摯に受け止めるべきです。しかし、感情的な怒りには、冷静に対処し、必要以上に動揺しないようにしましょう。

料理道具は、板前にとって重要なパートナーです。
包丁や調理器具を大切に扱い、定期的に手入れをすることで、長く使い続けることができます。道具を丁寧に扱う姿勢は、料理への愛情とプロフェッショナルとしての責任感を示します。

板前として与えられた仕事に対して、優劣をつけることはありません。
どんな仕事であっても、真剣に取り組む姿勢が重要です。小さな仕事でも丁寧にこなし、その中で学ぶことがあるという気持ちを持ちましょう。

料理への情熱と、困難に立ち向かう強い精神力は、プロの板前として不可欠です。
料理に情熱を持ち続け、常に向上心を持って取り組むことで、自分自身の技術が磨かれます。また、困難な状況にも立ち向かう強い精神力が、プロとしての成長を支えます。

プロとしての自覚は技術の熟練度や経験年数とは無関係です。
日々の業務において高い意識を持つことは、安全を保ちながら責任感を伴う行動を取るために重要です。たとえ技術が未熟であっても、真摯に学び、他者を尊重する姿勢を持つことで、プロフェッショナルとしての道を歩むことができます。

まとめ【板前の心構え】

この記事は、一流の板前になるための心構えについて格言として紹介しました。

それぞれの格言を実践する目的は、
お客様に喜びと感動を与え、仲間から尊敬と信頼を得て、会社に貢献して利益を残すことです。

言い換えれば、「一流の板前となること。」

プロの料理人としての覚悟や心構え、心得、あるいは哲学が、技術や知識の習得、人格形成、信頼の獲得に大きく影響することは間違いありません。

  • 新鮮な素材の目利き
  • 丁寧な下処理の方法
  • 適切な加熱時間と温度
  • 絶妙な調味料のバランス
  • 繊細な盛付けと彩り
  • 貴重な時間の使い方
  • 健全な心と身体
  • 快適な人間関係と接客
  • 困難な障壁と挫折

技術と知識だけでなく、人間性や品格までも成長し続ける姿勢を持つことが、一流の板前になるためには不可欠なのではないでしょうか?

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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