飲食業界では、毎年新しいスタッフが厨房に加わります。特に調理師専門学校を卒業したばかりの若手が入ってくると、厨房の雰囲気も一気にフレッシュになります。
私が働く店でも、ここ数年は新卒の採用が続いており、平均年齢がぐっと若返りました。彼らは皆、素直で一生懸命。しかし、当然ながら性格も異なれば、料理のセンスや技術レベルにも差があります。
その中に、一際光る才能を持つ若手がいます。
- 仕事の飲み込みが早い
- 手際がよく、スピード感がある
- 賄いを作らせても味のバランスが良い
経験の浅さを考えれば、なかなかの腕前。将来が楽しみな存在です。
しかし、彼には 「自分のこと以外には無関心」 という課題があります。
厨房では、技術だけでは一流になれない
彼は仕事が早く、自分の作業が終わるとすぐに自分の世界に戻ります。
- 後輩が困っていても手を貸さない
- 先輩の仕事を手伝おうとしない
- 厨房内の仕事量の偏りに気づかない
料理の世界は チームワークが重要 です。厨房ではポジションごとに役割が決まっていますが、来客数やメニューによって負担は変動します。経験や技量によって作業スピードも異なります。そのため、どうしても手が空く瞬間が生まれるものです。
手が空いたとき、あなたはどうする?
私は板前として、常に 「美味しいものを作る」「店に利益を残す」「人を育てる」 という三つのことを意識しています。
そして、料理人にとって大切なのは 技術力だけではありません。
- 向上心:常に学ぶ姿勢を持つ
- 協調性:チームで動く意識を持つ
- 気配り:厨房全体の流れを把握する
これらは 「一流の料理人」になるために不可欠な要素 です。
そのため、手が空いた時の行動には その人の本質 が表れます。
✅ 仕事を終えてダラダラするのか?
✅ 周囲の状況を見て、次の段取りを考えるのか?
✅ 仲間の仕事を手伝い、自分の存在をアピールするのか?
✅ 新しい技術を学ぶために、先輩に教えを請うのか?
✅ 誰もやりたがらない雑用を黙ってやるのか?
選択肢はいくつもありますが、どの道を選ぶかは 自分次第 です。
「仕事が終わった後の時間の使い方で、お前の未来が決まる」
これは、私が若い頃に先輩から言われた言葉です。
当時はその意味がよく分かりませんでしたが、今になって実感します。
手が空いた時の行動が、数年後の自分を作るのです。
- 手が空いたら、次の仕事を考える
- できることを探し、積極的に動く
- 仲間の力になる
このような姿勢を持つ人間が、最終的に周囲から信頼され、一流の料理人へと成長していきます。
料理の世界は厳しいですが、 努力を続けることで「本当に美味い料理」を作れるようになる のです。
「俺は料理人だ」と胸を張るために、今日も厨房で鍛えていきます。