MENU
運営者:パプリカ
・板前一筋22年
・ふぐ免許保有
・料亭、ミシュラン店、会員制クラブ勤務
転職したい板前さんはこちら

料理の基本と経験の先にある加減|プロが語る感覚的調理

新人の板前

先輩、料理の『加減』って、どうやって覚えればいいんでしょうか? レシピ通りに作っても、何かが違う気がして…

先輩の板前

それは経験の差だな。基本のレシピはあくまで出発点。そこから先の火加減や味の調整は、実際にやってみないと身につかないんだよ。

新人の板前

なるほど… でも、何を意識して経験を積めばいいんですか?

先輩の板前

よし、じゃあ料理の基本と、『加減』を極めるために大切なことを教えよう。


料理の世界では、「レシピを覚えるだけでは一人前になれない」と言われます。なぜなら、 火の通し方や味付けの調整、タイミングなどの「加減」は、経験を積んで初めて身につく感覚的な技術だからです。

本記事では、 料理の基本を押さえた上で、「加減」を見極める力を鍛える方法 を紹介します。 火加減・味加減の基本、経験を積むための具体的なポイント を詳しく解説するので、料理人としてのスキルを高めたい方はぜひ参考にしてください。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

 【詳しいプロフィールはこちら】

この記事を読むことで、次のようなことが分かります。
✔ レシピを超えた料理の本質とは?
✔ 火加減・味加減を正しく調整するコツ
✔ 「加減」の感覚を身につけるための習慣

それでは、料理の基本と「加減」の極意について詳しく見ていきましょう。

目次(INDEX)

料理の基本を知ることが「加減」を極める第一歩

料理の世界で「加減」を身につけるには、まず 基本を徹底的に理解し、経験を積むこと が欠かせません。プロの料理人も、最初はレシピ通りに作ることから始め、そこから少しずつ「感覚」を磨いていきます。


技術を支えるのは「基本」+「経験」

料理の腕を上げるには、まず 基本技術を身につけることが最優先 です。どんなにセンスがあっても、基本が疎かでは安定した料理は作れません。

例えば、焼き魚を例に考えてみましょう。

  • 基本を学んでいない場合:「強火で焼けばすぐに火が通る」と考え、焦がしてしまう
  • 基本を学んだ場合:「魚の身をふっくら仕上げるには強火の遠火がいい」と理解できる

このように、料理には 「なぜその方法が良いのか?」という理論 があります。基本をしっかり学ぶことで、応用や調整ができるようになるのです。


レシピ通りに作ることが感覚を磨く近道

「感覚が大事」と言われても、最初から感覚だけで作るのは難しいもの。 感覚を磨くためには、まずレシピを正確に再現する力をつけることが重要 です。

例えば、出汁のとり方 を考えてみましょう。

  • 何も考えずに昆布や鰹節を適当に入れると、味が安定しない
  • まずはレシピ通りの分量と手順で作り、正しい味を知る
  • 何度も試すうちに、「昆布を長く浸けすぎると雑味が出る」「鰹節を入れるタイミングで風味が変わる」といった違いがわかる

最初は 「出汁の温度を測る」「時間を守る」など、基本の手順を忠実に守る意識を徹底する ことが大切です。それを繰り返すことで、徐々に 「この昆布なら2時間以上浸してから火にかけたい」「タケノコを炊くから今日は鰹節を0.5%増やそう」 などの調整ができるようになり、「加減」の感覚が磨かれていきます。

料理の「加減」は、いきなり身につくものではなく、 基礎を学び、経験を重ねることで少しずつ体得していくもの なのです。

火加減の基本——料理を決める「温度」と「時間」の使い方

料理の仕上がりを左右する大きな要素のひとつが 火加減 です。
火が強すぎれば表面は焦げ、中心まで火が通りません。反対に、火力不足では旨味が逃げ出し、時間ばかりかかります。

加熱調理は、食材や方法ごとに適切な 「火加減」と「時間」 を見極めることが、美味しさを最大限に引き出す秘訣です。


焼き魚は「強火の遠火」が美味しさの秘訣

魚を焼くときに重要なのは 表面を香ばしく、中をふっくら仕上げること です。そのためには 「強火の遠火」 を意識しましょう。

  • 火が強すぎると… 表面が焦げ、中は生焼けになる
  • 火が弱すぎると… 水分が抜けて身がパサつく

遠火でじっくり焼くことで、表面はカリッと香ばしく、中はふっくらと仕上がります。炭火焼きが美味しいのは、炭の遠赤外線効果で 外側をパリッと、中をジューシーに焼けるから なのです。


煮物は「沸騰させず、じっくり火を通す」

煮物の基本は沸いたら火加減を調節し、「ボコボコ沸かさないこと」 です。煮物は、素材を柔らかく加熱し、調味料を中まで浸透させる料理です。煮汁がグツグツと沸騰すると、具材が崩れたり、地が濁ります。

  • 強火で炊く… 具材が煮崩れし、地が煮詰まり濁る
  • 弱火で炊く… じっくり火が通り、均一に味が染みる

里芋の煮物 で例えるならば、強火で煮ると外側ばかり柔らかくなり煮崩れます。さらに必要以上に煮詰まり、煮崩れた里芋のカスで地が濁ります。


揚げ物は「温度を一定に保つ」が成功のカギ

揚げ物の仕上がりを決めるのは 油の温度管理 です。温度が安定しないと、食材の衣がベタついたり、カラッと揚がりません。

  • 温度が低すぎると… 衣が油を吸いすぎてベタつく
  • 温度が高すぎると… 外側だけ焦げて中が生焼けになる

例えば、天ぷらを揚げるときの適温は 170〜180℃。途中で食材を入れると温度が下がるので、一度に入れすぎず、適宜温度を調整するのがコツです。

揚げ物をカラッと仕上げるためには、温度計を使って確認する習慣をつける のが近道。何度も繰り返すうちに、音や泡の状態を見て適切な温度が感覚的に分かるようになります。


火加減の調整は、料理の仕上がりを大きく左右します。 まずは基本の火加減を守り、繰り返し経験を積むことで、「ちょうどいい加減」を見極められるようになるのです。

味加減の基本——失敗しないための王道ルール

料理において 「味加減」 は極めて重要です。ちょっとした塩加減、醤油の量が、料理の出来を大きく左右します。ここでは、失敗しないための 基本的な味付けのルール を紹介します。


まずは基本の分量を覚える

最初に覚えるべきは、 基本の分量 です。レシピ通りに作ることは、初めてのうちは非常に大切です。特に調味料の分量は、 料理を失敗させないための大前提 となります。

  • 基本的な分量を守ること が、料理の味を安定させる
  • レシピ通りの分量 を覚え、慣れてきたら微調整を加える

例えば、 スープ煮物 の場合、最初は だしの分量や調味料の量 を守ることが肝心です。それにより、味が極端に濃くなったり、薄くなったりするのを防げます。


塩加減ひとつで味の印象が変わる

塩は 味の決め手 となる重要な調味料です。ほんの少し塩を加えるだけで、 素材本来の味が引き立つ ことがあります。しかし、塩加減を間違えると、料理全体のバランスが崩れてしまいます。

  • 塩を加えすぎると… 他の味が隠れてしまい、しょっぱくなる
  • 塩が足りないと… 風味が足りず、味がぼんやりとした印象になる

特に 焼き物や和え物 の場合、 塩の加減 がそのまま料理の印象を大きく変えます。基本的には 少量ずつ 塩を加えて、味見をしながら調整することが重要です。


素材や季節に合わせた味付けの調整方法

味付けをより良くするには、 素材や季節に合わせた調整 が必要です。食材には個体差があり、 素材の時期や状態 あるいは 季節 によって、塩加減や調味料の量を微調整する必要があります。

  • 夏野菜 には塩気を少し控えめに、さっぱりとした味付けを
  • 冬の根菜 には、少し濃い目の味付けが合う

例えば、 トマト には 塩を少量 で、 秋のきのこ類 には 少し濃いめの味付け が美味しく仕上がります。また、 季節の湿度や気温 によっても、 塩や酸味の調整が必要 です。


味加減の基本は、まずは分量通りに作ることからスタートし、徐々に素材や季節を考慮した微調整を加えていくことです。 それができるようになると、誰でも 美味しい料理を安定して作れるようになります

「加減」を体得するには? プロがすすめる3つの実践行動

料理の「加減」を極めるには、 技術や知識 だけでは不十分です。実際に 数多くの料理を作り、失敗から学び、美味しいものを食べることが 何よりも重要です。

ここでは、 おいらが実感した「加減」を体得するための3つのコト を紹介します。これらの習慣を身に付けることで、あなたも「加減」のプロフェッショナルになれるでしょう。


料理は数をこなしてこそ上達する

料理の上達には 繰り返しの実践 が欠かせません。多くの料理を作ることで、 「火の通し具合」や「調味料のバランス」 など、無意識に調整できるようになります。

  • 最初はレシピ通りに作る ことを大切にして、徐々に微調整を加える
  • 何度も同じ料理を作る ことで、各工程の感覚を体で覚える

レシピ通りに繰り返し作ることで、火力や調味料の「ちょうどいい加減」がわかってきます。

失敗から学び、精度を上げる

失敗こそが上達の近道です。 最初は必ず失敗する ものですが、そこから学び、 精度を上げる ことが大切です。失敗した際には、 どこを間違えたのかをしっかりと振り返り、次に生かす ようにしましょう。

  • 過剰な火入れや濃すぎる味付け などの失敗を繰り返しながら、適切な加減を見つける
  • 細かな失敗を恐れずに、毎回学ぶこと が上達を早める

茹ですぎた、生焼けだった、ビビリすぎてほぼ無味だった。失敗した反省を次に活かし、再発防止や改善をして心掛けることが大切です。

美味しい料理を食べ、舌を鍛える

美味しい料理を食べること も、料理人にとっては非常に重要な学びのひとつです。 親方や先輩が作った料理はもちろん、自分のお金で食べに行くことも良いでしょう。

「美味しい」と言われる料理 に触れることで、 味覚を育て、加減を見極める感覚が養われます。

  • 高いレベルの料理を食べることで、何が「美味しい」のかを理解する
  • 他の料理人が作る料理の細部を観察し、加減を学ぶ

他人の作る料理を自分なりに分析し、勉強することも味覚を鍛えることになります。特に身銭を切ることは極めて重要です。


「加減」を体得するためには、継続的な練習と失敗から学ぶ姿勢が大切です。 この3つの習慣を実践することで、敏感に加減の違いを感じられるようになるでしょう。

【まとめ】料理の感覚を高めて加減を知る

料理の「加減」を身に付けることは、技術と感覚を磨く重要なステップです。数をこなし、失敗を恐れず、日々の練習と反省を繰り返すことで、自然と「ちょうど良い」の感覚が養われていきます。

料理に取り組み、料理を考える時間 を増やしてみてください。食材や調理法にこだわり、毎回少しずつ「加減」を調整することで、きっと大きな成長が感じられるはずです。

この習慣を続けていけば、料理がもっと楽しくなり、 周りからも「美味しい!」と言われるようになる 日がきっと訪れます。

今すぐ、あなたも「加減」を極める第一歩を踏み出しましょう!

シェアしてね!(Share it, please!)
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

目次(INDEX)