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運営者:パプリカ
・板前一筋22年
・ふぐ免許保有
・料亭、ミシュラン店、会員制クラブ勤務
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【プロ直伝】胡麻豆腐の作り方|失敗しない練り方と再現性の高いレシピを徹底解説

胡麻豆腐をレシピ通りに作ったのに……
なぜ、胡麻豆腐は失敗するのか
なぜ、毎回同じ仕上がりにならないのか

新人の板前

パプリカ先輩!胡麻豆腐作ってみたんですけど、全然うまく固まらなくて……

パプリカ先輩

お、やったのか。でもそれ、たぶん“練り加減”が甘いんだな。

新人の板前

でも、ちゃんとレシピ通りにやったんですよ!時間も分量もきっちり!

パプリカ先輩

うん、だからこそだ。加熱の時間ってのは曖昧なんだ。おいらも昔、“このくらいのツヤが出たらOK”って感覚で教えてもらったよ。けど、それじゃ毎回同じ味は出せないんだよ。

新人の板前

えっー!それじゃ、どうしたらいいんですか!?

本でもネットでも、どのレシピを見ても「練り時間」は○分、と書かれている……。先輩から教わる場合でも、「このくらいの粘りが出たら」「手ごたえがこうなったら」という感覚的な指導で、明確な言語化はされません。

時間を計るだけでは、ちょうど良い加減、再現性のある仕上がりにはならないんです。

たとえば――
5人分と50人分を比べた場合の練り時間は10倍ではないし、鍋の大きさや火加減によっても、水分の蒸発具合は変わるものです。「時間」だけでは、練り上がりのタイミングの判断ができないのです。

そこで本記事では、

  • だれでも失敗しない
  • 仕上がりにムラが出ない
  • 何度でも同じ味を再現できる

そんな本当に使える胡麻豆腐のレシピをご紹介します。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

 【詳しいプロフィールはこちら】

さらに、胡麻豆腐の由来や歴史、ちょっとしたアレンジ法までわかりやすく解説。
この記事を読めば、あなたも「胡麻豆腐通」になれるはずです。

目次(INDEX)

胡麻豆腐とは?名前に“豆腐”がつく理由

胡麻豆腐とは、胡麻と吉野本葛を練って固めた精進料理です。見た目はよくある「大豆で作る豆腐」とそっくりですが、大豆もにがりも使われていません。

それでも“豆腐”と呼ばれるのは、日本料理では四角く固めた料理に「豆腐」と名をつける習わしがあるためです。卵豆腐もその一例です。

MEMO:吉野本葛

奈良・吉野の山に生える葛の根から作られる純度の高いでんぷん粉。透明感があり、もっちりとした粘りが特徴。胡麻豆腐の他、葛餅や葛切り、漢方薬「葛根湯」にも使われる

MEMO:精進料理

仏教の教えの基、肉や魚などの動物性食品を避け、野菜や豆類などの植物性食品のみで調理する料理のこと

胡麻豆腐の歴史と由来

胡麻豆腐は、平安時代に弘法大師・空海(こうぼうだいし・くうかい)が始めたとされます。高野山の精進料理が起源とされ、肉や魚を避ける僧侶にとって、胡麻は重要な栄養源でした。

江戸時代の『和漢精進料理抄』には「麻豆腐」の名も登場し、これが起源という説も。昭和に入ると高野山の名物として知られるようになり、今では全国で親しまれています。

胡麻豆腐の作り方『基本のレシピ』

本来、胡麻豆腐には気が遠くなるほどの手間ひまがかかります。胡麻の皮を剥き、その真っ白な磨き胡麻を弱火でじっくりと煎り、すり鉢で油が出るまですり潰す……

しかし、現代では瓶詰めされた当たり胡麻(胡麻のペースト状のもの)を使うのが一般的です。

基本のレシピ
A:冷たいまま食べる『水10:葛1』
B:温めて食べる『水6.5:葛1』


仕上がりのタイミング
水分が10%蒸発したとき
正確に計量して、前後で重さを比較する

胡麻豆腐の材料

『胡麻豆腐の基本レシピ』(冷たいまま食べる)

・当たり胡麻 144g
・吉野本葛 120g
・水 1200cc
・顆粒昆布出汁 6g
・砂糖 18g
・塩 2g
・薄口醤油 10cc
24×24cmの流し缶で寄せる場合の量
流し缶の大きさに合わせて調整して下さい

昆布出汁は市販の顆粒を使っていますが、自家製の昆布出汁があれば、尚良いです。

胡麻豆腐の手順

ボールに当たり胡麻を計量します。

濃厚な味、豊かな香り、滑らかな食感…「アダチ食品」は一級の当たり胡麻です。

葛はダマになりにくいため、神経質になる必要はありません。しかし、一部、溶けにくい塊があるため濾すのがベター。(塊を残したまま加熱するとダマになります)

鍋に移す際に、なるべく目の細かいザルで濾すこと。

溶けずに残る粒が、加熱のときにダマの原因となります。

当たり胡麻も少しずつ水を加えて、ダマにならないように注意します。

万が一、ダマができるようなら当たり胡麻も濾してから鍋に移します。

混ぜる時に使用する、ヘラ類も一緒に量ること。

練り始める前に鍋ごと計量し、水分量の10%分軽くなった時点が練り上がりのタイミングです。

一度、火に掛けスタートしたら、途中でストップはできません。最後まで練り上げましょう。

でんぷんは60℃前後で凝固が始まり、70℃くらいになると鍋肌に凝固したでんぷんが目に見えわかります。80℃くらいでは完全に凝固するため、手早く均一に混ぜ、ダマができないように注意して下さい。

火加減が強すぎると、底が焦げ付きます。反対に、弱すぎると水分が蒸発するのに長い時間がかかります。

焦げずに、ポコポコと沸騰を維持できる火加減に調整して下さい。

【枝豆豆腐】アレンジレシピ①

・枝豆 360g・当たり胡麻 12g
・吉野本葛 120g
・水 1200cc
・顆粒昆布出汁 6g
・砂糖 18g
・塩 2g
・薄口醤油 10cc
24×24cmの流し缶で寄せる場合の量
流し缶の大きさに合わせて調整して下さい

【ごぼう豆腐】アレンジレシピ②

・ごぼう 450g・当たり胡麻 15g
・吉野本葛 150g
・水 975cc
・顆粒昆布出汁 3g
・砂糖 15g
・塩 2g
・薄口醤油 8cc
24×24cmの流し缶で寄せる場合の量
流し缶の大きさに合わせて調整して下さい

ミキサーが回りやすいように、水を一緒に加えます。(分量内の水から適量)

まとめ|失敗しない胡麻豆腐の作り方

見た目は豆腐、中身は胡麻と吉野葛。胡麻豆腐は、シンプルながらも歴史と技術が詰まった日本の伝統料理です。

作り方も、コツを知れば決して難しくはありません。練り上げる完成のタイミングは、時間を目安にして、計量することで判断して下さい。

アレンジのポイント
  • 葛と水の割合で仕上がりの固さが異なる
  • あらゆるペーストが使える
  • 甘みを加えてデザート、甘味にも

この機会に、あらためて胡麻豆腐を味わってみませんか?既製品とはまったく違う、本物のおいしいが味わえます。

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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