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運営者:パプリカ
・板前一筋22年
・ふぐ免許保有
・料亭、ミシュラン店、会員制クラブ勤務
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板前の階級とは?各ポジションの役割と心構えを徹底解説

新人の板前

先輩、僕、煮方をやってみたいんです!ポジション変えてもらえないですかね?

先輩の板前

そうか、その意気込みは大事だ。でもな、ポジションは単なる役割分担じゃなくて、板前にとっては一種の階級みたいなものなんだ。

日本料理の世界には、経験や技術に応じて与えられる「ポジション」が存在し、これが「階級」として知られています。

この階級は、店舗の規模や料理長の方針によって異なる場合が多く、少人数の店舗では一人で複数の役割を兼ねることもあれば、大規模な店舗では各ポジションに補助役が付くこともあります。

ポジションは、使用する厨房機器や経験年数、習得技術によって決定され、それぞれに異なる役割や責任が求められます。

洋食のシェフやコックが全員「調理師」であるように、板前もまた、法律上はすべて「調理師」です。

日本料理の板前は、技術や経験に応じた階級を重ねながら成長し、それに応じた心得を身に付けていきます。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

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本記事では、日本料理の調理場で見られる主な階級とその役割、さらに各ポジションで求められる心構えについて、詳しく解説していきます。

目次(INDEX)

【見習い・追い回し・あひる】– 基礎力を鍛える第一歩

仕事内容

厨房の掃除や洗い物、仕入れの検品、下ごしらえ、まかない作りなど、雑務全般を担当します。料理と直接関係のない仕事も多く、名もなき裏方の業務が中心となります。

心構え
このステージでは、まずは「動きながら学ぶ」ことが求められます。日々の忙しさの中で状況を見極め、先回りして段取りを整える力を養います。雑務を確実にこなすことで、次のポジションに進むための土台が築かれる大切な期間です。

豆知識
「追い回し」という名称は、忙しさに追われるように働く姿から来ています。一方、「あひる」は水場を担当することが多いことに由来しています。

【八寸・前菜場】– 美しさとスピードが求められるポジション

仕事内容
前菜や八寸の盛り付けを中心に担当します。他のポジションで調理された料理を切り分けたり、和えたりして最終的な仕上げを行います。手際の良さと、料理を引き立てる盛り付けのセンスが重要です。

心構え
細かな作業が多く、扱う食材の種類も豊富です。特に八寸は見た目が大切なので、手本通りに真似をする能力求められます。早く正確な作業とセンス、食材の管理能力が必要です。美的センスの向上には、着物や絵画などから色彩や構図を学ぶことも有益です。

【揚げ場・焼き場】– 温度管理の極意と熟練の技を磨く

仕事内容
炭火や焼き台を使った焼き物、天ぷら鍋での揚げ物を担当します。それぞれの素材や調理法に応じた適切な火加減や温度管理を習得し、技術を高めていきます。
また、魚の処理や仕込みから下ごしらえ、調理、完成まで、一連の作業を一貫して担当します。

心構え
このポジションでは、魚の扱い方や火力・温度の繊細なコントロールが求められます。焼きたて・揚げたてをベストな状態で提供するため、スピード感や段取り力が重要です。ピーク時の忙しさに対応しつつ、仕上がりの鮮度を追求する姿勢が欠かせません。

【煮方】– 店の味を支える中核的ポジション

仕事内容
出汁の取り方や味付けをはじめ、吸い物、煮物、蒸し物、炊飯などガスコンロと鍋を使う作業を担当します。店の味を根幹から支える重要な役割を担います。また、厨房の「二番手」として、料理の完成度に直接影響を与えるポジションです。

心構え
全体を見渡し統率する役割と、高度な技術力と料理に対する理論的な理解が必要です。特に、出汁の品質管理への徹底したこだわりが、店の味の個性と深みを決定づけます。また、補助役である「脇鍋」との密な連携が欠かせません。的確な指示を出しつつ、厨房全体がスムーズに動くよう調和を図る能力が求められます。

補助:【脇鍋】
煮方をサポートし、野菜の皮むきや下ごしらえなどを担当します。指示を待つのではなく、必要な作業を先読みし、自ら考えて行動する主体性が必要です。

【板場・花板】– 技と人柄で魅せるカウンターの花形

仕事内容
鮮魚の取り扱いと刺身を引くことがメイン。お客様の目の前での作業や、料理を提供することもあります。カウンター席がある店舗では、板場は「店の顔」としての重要な役割を果たします。

心構え
加熱や味付けに頼らず素材の魅力を引き出すためには、卓越した包丁技術と盛り付けセンスが不可欠です。また、カウンター越しでの接客や、お客様とのコミュニケーションも求められます。包丁を常に最適な状態に保つためのメンテナンス技術も、プロとして欠かせないスキルです。

補助:【脇板】
板場をサポートし、魚の処理や刺身の盛付けを担当します。板場が効率よく作業を進められるよう、先回りして準備を整えるのが役目です。

【親方・板長・料理長・大将】– 厨房を率いるリーダーの責任と使命

仕事内容
厨房の最高責任者として、献立作成や原価管理を行い、厨房全体を統括します。調理場の指揮に加え、ホールスタッフや女将との連携を図り、店舗全体の運営にも関与します。また、板場や煮方を兼任することも多く、料理だけでなく店舗全体を見渡すリーダーとしての役割を担います。

心構え
「美味しい料理」を提供することはもちろん、食材や料理、伝統文化への深い理解と卓越した技術が求められます。さらに、食中毒やアレルギー対策を実践し、安全管理や従業員教育にも責任を持ちます。店舗の味や伝統を守りながら、従業員とお客様双方の信頼を築き、繁栄を支えることがリーダーとしての使命です。

まとめ

新人の板前

先輩、やっぱり板前の階級って大事なんですね。どのポジションもそれぞれ役割があって…。

先輩の板前

ああ、そうだ。どんなポジションでも、そこで学んだことが次に繋がる。それを積み重ねるのが板前の成長の道だ。

日本料理の厨房では、各階級ごとに必要とされる技術や心得が異なり、それぞれが板前として成長するための重要なステップです。

どのポジションでも得られる経験は貴重で、技術と心構えを磨き上げていくことが、一流の料理とサービスを提供できる板前への道を切り開きます。

新人の板前

先輩、今のポジションでも頑張れば、いつか花板や親方になれますか?

先輩の板前

もちろんだ。大事なのは、目の前の役割に全力を尽くすことだ。それがやがて、料理人としての人生を支える財産になる。

それぞれのポジションで培った知識や技術は、料理人としての生涯を支える大きな力となるのです。

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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