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運営者:パプリカ
・板前一筋22年
・ふぐ免許保有
・料亭、ミシュラン店、会員制クラブ勤務
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【板前コラム①】板前が使う単位と尺貫法

「寸切」
「尺一の柳」
「一合の酒」

料理の世界に飛び込むと、いろんな単位に触れることになります。長さや容量、重さまで、覚えなきゃいけないことが山ほど。

おいらも最初は「なんのこっちゃ?」って感じで戸惑ったけど、慣れてくると不思議と馴染むもんです。

コラムを書くのはプロの板前

  • 板前20年以上
  • 都心の高級店勤務

 【おいらのプロフィール】

たとえば冒頭の「寸切:すんぎり」。これは約3cmに切り揃えることを指します。そして「尺一の柳:しゃくいちのやなぎ」は、33cmの柳刃包丁のこと。「一合の酒:いちごうのさけ」なんて言ったら、180mlの酒のことですね。

これらの単位は日常的にもバンバン飛び交うから、覚えておかないと現場で困っちゃう。特に先輩から指示が飛んだときに「え、何それ?」なんて言おうもんなら、怒られるどころか笑われちゃうかもしれません?
だから、しっかり覚えて仕事に活かしてほしいってわけです。

目次(INDEX)

長さの単位「分・寸・尺」

板前の世界でよく使われる長さの単位には、「分(ぶ)」「寸(すん)」「尺(しゃく)」があります。

単位読み方長さ
一分いちぶ3mm
一寸いっすん3cm
一尺いっしゃく30cm

まずはこの基本を押さえておけばOK。

特に料理で頻繁に登場するのは「一寸」だね。箸でつかみやすく、食べやすい大きさ。

見た目の美しさや火の通り、味の染み込みを均一にするため、「サイズ・長さを揃える」というのは超大事。

正確には3.03cmだけど、だいたい3cm。それでいい。覚えるのは「3cm」で十分。

長さを覚えるコツ

板前として長さを感覚的に掴むのも大切なスキル。

おいらも、最初は「こんなもんかな?」って適当にやってたけど、あるとき先輩に「自分の手で覚えろ」って教わったんだ。

例えば、こんな感じで覚えてみると便利だよ。

  • 人差し指の先から第一関節:約3cm
  • 指2本分の幅:約4cm
  • 指3本分の幅:約5cm
  • 広げた手の大きさ:約20cm

こうやって、自分の手を物差し代わりにしてみるのもアリ。現場では定規なんか持ってられないからね。自分の手のサイズを頼りにすれば、すぐに「このくらいか」って分かるようになる。

料理の世界は奥深いけど、最初は基礎を固めることが大事。こういう単位や感覚を覚えていくと、自分の技術がどんどん磨かれるから、焦らずコツコツ続けてみて下さいね。

容積の単位「勺・合・升・斗」

さて、次は容積の単位について話していきましょう。

日本料理では、液体の出汁や調味料を扱うときに、この単位が頻繁に出てきます。例えば「一合の酒」や「五勺の醤油」なんて聞いたことありませんか?

これ、ただの古い表現じゃなくて、今でも現場でバリバリ使われているんです。

基本の容積単位覚えるべきポイントはこれ。

単位読み方容量
一勺いっしゃく
(いっせき)
18ml
一合いちごう180ml
一升いっしょう1,800ml
一斗いっと18L

勺のことを「せき」と呼ぶ板前も多く、おいらも「いっせき」「にせき」なんて感じで使っています。

基本は「18ml」から始まり、シンプルに10倍ごとに単位が変わっていく構造。以下の言葉は聞いたことありますかね?

  • 一合枡:いちごうます
  • 一升瓶:いっしょうびん
  • 一斗缶:いっとかん

さらには、和食で使われるお玉(レードル)も、18の倍数が基本になっています。

  • 五勺玉:90ml
  • 一合玉:180ml
  • 三合玉:540ml

現場では目分量で作業を進めることも多いですが、この感覚を掴むことでスピードが格段に上がります。

調味料の比重/「ml」=「g」ではない

調味料と比重容積の話をするとき、注意してほしいのが「ml」と「g」の関係性です。水の場合、1ml = 1gですが、他の調味料ではこの関係が当てはまりません。

以下は主要な調味料の「一合(180ml)」あたりの重さと比重です。条件により変わるため参考程度に。

調味料一合あたりの
重さ (g)
水に対する
比重
1801
醤油2071.15
みりん2071.15
1801
精製塩2161.2
天然塩1620.9
上白糖1170.65
味噌2071.15
小麦粉990.55
片栗粉1170.65
1620.9
メーカーや湿度により相違あり

その割(レシピ)は重さなのか、容積なのかで味が変わります。料理は感覚だけではなく、数字や割合の基本があり、基本を身に付けると圧倒的に調理スピードが上がります。

重さの単位「匁・両・貫」

さて、最後は重さの単位についてお話ししましょう。

ただ正直なところ、この「匁」「両」「貫」なんて単位を使う人は、今ではかなり少数派です。おいらも20年以上板前やってますけど、あまり聞く機会はありませんでしたね。

でも、たとえば昔勤めてた店の魚屋さんでは「匁」を使ってたんですよ。車エビを「四匁」「六匁」なんて言うんです。これ、どういうことかっていうと……

  • 一匁(いちもんめ):3.75g
  • 四匁(よんもんめ):15g
  • 六匁(ろくもんめ):22.5g

エビのサイズをこうやって表現してたんです。なんだか風情があるでしょ?

重さの基本単位を一応、押さえておくと。

スクロールできます
単位匁(もんめ)両(りょう)貫(かん)グラム(g)
1 匁1 匁0.1 両0.001 貫3.75g
1 両10 匁1 両0.01 貫37.5g
1 貫1000 匁100 両1 貫3,750g

冷凍エビのサイズ表記

さて、重さの単位つながりで、冷凍エビのサイズ表記についても触れておきます。これも最初はちょっと分かりづらいんですが、知っておくと役立ちますよ。

たとえば「21/25」とか「61/70」とか書いてあるあれ。これは、1ポンド(約450g)あたりのエビの本数を意味しています。

具体的には、
21/25:450gあたり21〜25本のエビが入っている
61/70:450gあたり61〜70本のエビが入っている
エビ1本あたりの重さは、450gを本数で割れば簡単に計算できますね。

冷凍エビサイズの早見表
以下は冷凍エビのサイズを、一本あたりの重さや1kgあたりの本数と合わせて表にまとめたものです。

サイズ
表記
1ポンド
当たりの
本数(平均)
1本当たりの
重さ(平均)
8/1210本45g
13/1514本32g
16/2018本25g
21/2523本20g
26/3028本16g
31/4035本13g
41/5045本10g
51/6055本8g
61/7065本7g
71/9080本6g

まとめ|現場で必要な知識「尺貫法」

料理の現場では、長さ・容積・重さの伝統的な単位が使われることが多く、これらを理解することは板前にとって重要です。

厨房では、単位に関する知識がなければ、先に進めません。まずは、「三合の出汁」「濃口醤油1セキ」なんて指示されたときに、スッと動けるようになりましょう。

1. 長さの単位

  • 一分(ぶ): 約3mm
  • 一寸(すん): 約3cm(料理で頻繁に使われる)
  • 一尺(しゃく): 約30cm
    手の大きさや指の長さを基準にして覚えると便利です。

2. 容積の単位

  • 一勺(いっしゃく): 約18ml
  • 一合(いちごう): 約180ml(日本酒や米の計量で一般的)
  • 一升(いっしょう): 約1,800ml
  • 一斗(いっと): 約18L
    和食ではお玉(レードル)のサイズもこれに基づいています。

3. 重さの単位

  • 一匁(いちもんめ): 約3.75g
  • 一両(いちりょう): 約37.5g
  • 一貫(いっかん): 約3,750g(約3.75kg)
    滅多に聞かないが使ったらエモいかも。

板前の現場では、これらの単位を瞬時に理解し、正確に使いこなすことが求められます。尺貫法を覚えることで作業スピードが上がり、料理の品質向上にもつながるので、しっかり身につけていきましょう!

料理の世界は本当に奥深くて、やればやるほど楽しくなるから、くじけずに楽しんでいきましょう!

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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