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【板前の給料】統計から知る現実と飲食業界の低い給与水準

新人の板前

はぁ~ 給料上がらないかなー

先輩の板前

板前の給料が低いのは業界全体の傾向だからなー

板前は料理を作り、お客様に食べていただき、その対価としてお金を貰うという、極めてシンプルなビジネスモデルです。

売上に対して「原価3割、人件費3割、経費3割」と言われる飲食業界で、できる限り高い給料を得るためには、現状を正しく理解して対策をしなくてはいけません。

まずは、日本国内全体の給料事情を知り、その上で飲食業界全体の給料事情に切り込みます。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

 【詳しいプロフィールはこちら】

【国内賃金構造】

【性別】男性>女性
【学歴】大学卒>専門学校卒>高校卒
【規模】大企業>中企業>小企業
【雇用】正社員>非正社員
【年齢】50代>40代>30代>20代
【役職】部長>課長>係長
【地域】東京>神奈川>大阪

※左側に当てはまる者ほど高給である

【民間給与実態統計調査】

年収500万円以下の飲食業従事者
男性:76.4%(52.6%)
女性:96.8%(85.5%)

()内は全業種の平均

飲食業の年齢別 平均給料

年齢男性女性
全年齢29.022.2
~19歳18.817.7
20~24歳21.120.4
25~29歳23.922.1
30~34歳26.122.9
35~39歳29.723.5
40~44歳31.523.5
45~49歳32.623.8
50~54歳34.022.7
55~59歳32.923.2
60~64歳28.120.8
65~69歳24.918.9
単位:万円/月収/税引き前
目次(INDEX)

【賃金構造基本統計調査】の概要

厚生労働省の公表する「賃金構造基本統計調査」から紹介します。

  • 時期:2023年
  • 賃金単位:万円
  • 1ヵ月分の賃金
  • 税引き前の総支給額
  • 時間外や休日出勤等の手当ては含まない

日本国内賃金の全体推移 2001年~2023年(各年6月分)

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合計男性女性男女格差
200130.634.122.265.3
200230.333.622.466.5
200330.233.622.466.8
200430.233.422.667.6
200530.233.822.365.9
200630.233.822.365.9
200730.133.722.566.9
200829.933.422.667.8
200929.532.722.869.8
201029.632.822.869.3
201129.732.823.270.6
201229.832.923.370.9
201329.632.623.371.3
201430.033.023.872.2
201530.433.524.272.2
201630.433.524.573.0
201730.433.624.673.4
201830.633.824.873.3
201930.833.825.174.3
202030.833.925.274.3
202130.733.725.475.2
202231.234.225.975.7
202331.835.126.374.8
単位:万円/月収/税引き前

MEMO:男女格差
「男性賃金=1」とした場合に、
女性の賃金を「%」で示しています。

【ポイント】

  • 20年以上賃金水準はほぼ横ばい
  • 男女格差は改善傾向だが、依然として男性の方が高い給料

年代/性別の賃金 2023年

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年代合計男性女性
~1919.019.118.8
20~2422.522.922.0
25~2925.826.824.6
30~3428.630.225.9
35~3931.533.827.0
40~4433.937.227.7
45~4935.639.728.2
50~5437.141.828.6
55~5937.642.728.2
60~6430.633.424.7
65~6927.029.321.7
単位:万円/月収/税引き前

【ポイント】

  • 生涯で最も給料が高い50代
  • 60歳以降は大きく収入が下がる

年代/学歴別の賃金 2023年6月分

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年代高校専門学校大学大学院
全年齢28.230.036.947.7
20~2421.622.324.027.4
25~2924.124.927.329.6
30~3425.927.030.936.0
35~3927.728.935.443.9
40~4429.330.839.549.8
45~4931.033.343.156.0
50~5432.034.547.460.9
55~5932.335.049.964.3
60~6426.628.538.364.4
65~6923.627.136.960.9
単位:万円/月収/税引き前

【ポイント】

  • 高学歴であるほど収入は高い
  • 生涯年収では数億円もの差ができる

年代/企業規模別の賃金 2023年6月分

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年代大企業中企業小企業
年齢計34.631.129.4
~19歳19.318.918.7
20~2423.422.121.5
25~2927.125.324.6
30~3430.727.826.9
35~3934.230.629.1
40~4437.333.230.7
45~4939.335.032.2
50~5441.736.133.0
55~5942.936.832.6
60~6431.430.629.9
65~6927.727.126.5
単位:万円/月収/税引き前

【ポイント】

  • 企業規模が大きいほど給与は高い

MEMO:企業規模
ここでの区分は以下の通りです。
大企業:1000人以上
中企業:100~999人
小企業:99人以下

年代/雇用区分別の賃金とその格差 2023年6月分

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年齢正社員非正社員格差
合計33.622.767.4
~19歳19.317.188.5
20~24歳22.919.585.2
25~29歳26.421.682.1
30~34歳29.422.175.3
35~39歳32.722.167.4
40~44歳35.522.162.2
45~49歳37.521.858.1
50~54歳39.422.256.4
55~59歳40.522.254.8
60~64歳34.925.773.5
65~69歳31.323.274.1
単位:万円/月収/税引き前

【ポイント】

  • 正社員と非正社員では最大で2倍近い差がある

MEMO:非正社員
パート・アルバイト、契約社員、派遣社員等。

MEMO:格差
「正社員賃金=1」とした場合に、
非正社員の賃金を「%」で示しています。

役職別の賃金 2023年6月分

役職賃金年齢勤続年数格差
部長級59.652.822.5204.7
課長級49.149.220.9168.6
係長級37.145.417.6127.4
非役職者29.141.210.6100.0
単位:万円/月収/税引き前

【ポイント】

  • 役職が高いほど高給
  • 役職者になるには長い勤続が必要

MEMO:格差
「非役職者賃金=1」とした場合に、
各役職の賃金を「%」で示しています。

都道府県別の賃金 2023年6月分

タップで拡大できます
都道府県平均賃金
全国平均31.8
北海道28.9
青森県25.0
岩手県26.0
宮城県28.9
秋田県26.1
山形県25.6
福島県27.9
茨城県31.2
栃木県32.3
群馬県29.6
埼玉県31.7
千葉県31.0
東京都36.9
神奈川県35.0
新潟県27.0
富山県29.4
石川県29.0
福井県28.5
山梨県29.2
長野県28.8
岐阜県29.2
静岡県30.5
愛知県32.2
三重県30.5
滋賀県30.3
京都府31.6
大阪府34.0
兵庫県31.7
奈良県30.2
和歌山県29.8
鳥取県25.8
島根県26.9
岡山県29.1
広島県29.7
山口県29.0
徳島県27.1
香川県27.9
愛媛県28.0
高知県27.3
福岡県29.7
佐賀県26.9
長崎県25.7
熊本県26.9
大分県27.1
宮崎県25.4
鹿児島県26.8
沖縄県26.5
単位:万円/月収/税引き前

【ポイント】

  • 大都市圏のほうがより高給である

【日本の賃金の構造】

スクロールできます
項目全体男性女性
給与所得者数5,078万人2,927万人2,151万人
全体平均給与458万円563万円314万円
正社員平均給与523万円584万円407万円
非正社員平均給与201万円270万円166万円
年間給与階級
最多分布
400~500万円
839万人(16.5%)
400~500万円
518万人(17.7%)
100~200万円
461万人(21.5%)
平均年齢47.0歳47.1歳46.9歳
平均勤続年数12.7年14.3年10.4年
国税庁「民間給与実態統計調査 」より

【性別】男性>女性
【学歴】大学卒>専門学校卒>高校卒
【規模】大企業>中企業>小企業
【雇用】正社員>非正社員
【年齢】50代>40代>30代>20代
【役職】部長>課長>係長
【地域】東京>神奈川>大阪

この賃金の高低構造は
業種に関わらずほぼ確定した事実です。

業種別の賃金

国税庁の公表する「民間給与実態統計調査 」から「1年を通じて勤務した給与所得者」について概要を解説します。

注意:1年を通じて勤務した給与所得者とは
・2023年1月~12月まで同じ会社で勤めた労働者
・正社員以外も含む(契約社員、パート、アルバイトなど)
・1年間の総支給額(手当て、賞与含む)

業種によって、給与水準は大きく異なります。
しかし、どの業種でも

  • 女性よりも、男性
  • 小企業よりも、大企業
  • 非正社員よりも、正社員
  • 地方よりも大都市圏 

が高給である可能性は高くなります。

業種は総務省の「日本標準産業分類」に基づきます。

【業種別】就業者数・給与総額・平均給与

残念ながら、日本料理の「板前」という職業の統計はなかったため、「宿泊業・飲食サービス業」という分類とし紹介します。

【宿泊業・飲食サービス業】

  • 労働人口:195万人
  • 総給与額:5.2兆円
  • 平均給与:268万円

業種別の平均給与比較では、
最も低いのが「宿泊業・飲食サービス業」です。

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産業労働人数給与総額平均給与
建設業404万人21.4兆円529万円
製造業960万人51.2兆円532万円
卸売業・小売業806万人30.9兆円384万円
宿泊業・飲食サービス業195万人5.2兆円268万円
金融業・保険業136万人8.9兆円656万円
不動産業・物品賃貸業124万人5.7兆円457万円
運輸業・郵便業323万人15.4兆円477万円
電気・ガス・熱供給・水道業18万人1.4兆円747万円
情報通信業211万人13.3兆円632万円
学術研究・技術サービス業
教育・学習支援業
242万人13.2兆円544万円
医療・福祉742万人30.3兆円409万円
複合サービス事業88万人4.4兆円506万円
サービス業777万人29.3兆円377万円
農林水産・鉱業49万人1.7兆円337万円
合計5078万人232.3兆円458万円
国税庁の「民間給与実態統計調査 」より

「宿泊業・飲食サービス業」の給与階級

以下は、「宿泊業・飲食サービス業」の年収(税引前の総支給額)の分布です。

「女性の100万円以下」では夫の扶養内パートタイム労働が多く含まれていることが予想されます。

年収500万円以下の飲食業従事者
男性:76.4%(52.6%)
女性:96.8%(85.5%)

()内は全業種の平均

とはいえ、高給が目指せない業界というわけでもありません。

事実、年収1000万円を超えは、
男女合計で27000人以上
います。

給与階級男性女性
~100万円148,593人
(16.7%)
405,430人
(38.1%)
~200万円113,626人
(12.7%)
326,019人
(30.6%)
~300万円113,426人
(12.7%)
162,942人
(15.3%)
~400万円174,621人
(19.6%)
84,020人
(7.9%)
~500万円131,483人
(14.7%)
52,393人
(4.9%)
~600万円85,598人
(9.6%)
16,956人
(1.5%)
~700万円40,295人
(4.5%)
4,901人
(0.46%)
~800万円34,454人
(3.8%)
1,882人
(0.17%)
~900万円18,834人
(2.1%)
1,055人
(0.09%)
~1000万円7,109人
(0.7%)
1,141人
(0.10%)
~1500万円15,592人
(1.75%)
4,084人
(0.38%)
~2000万円4,765人
(0.53%)
1,634人
(0.15%)
~2500万円464人
(0.05%)
28人
(0.002%)
2500万円~1,037人
(0.11%)
58人
(0.005%)
合計889,896人 1,062,541人
1000万円~21,858人
(2.45%)
5,804人
(0.54%)

【飲食業の給料】まとめ

板前の給料を1年後に10%上げるために

この記事では、日本全体の賃金構造と飲食業の給料について解説しました。

ポイント

  • 20年以上賃金水準はほぼ横ばい
  • 男女格差は改善傾向だが、依然として男性の方が高い給料
  • 生涯で最も給料が高いのは50代
  • 高学歴、大企業、大都市圏などは高給の傾向
  • 飲食業界の給与は低い
  • 飲食でも年収1000万円を超える人もいる

板前の給料を上げるための対策

【今の会社に勤めたまま】

  • 昇進: 役職昇進を目指す
  • 副業: 片手間でできる副業にチャレンジする

【今の会社を辞める】

  • 独立: 自分の店を持つ
  • 転職: より高給な店に移る

≫転職について詳しく

どのパターンであっても共通していることは
「技術、知識、心構えを高めること」

板前としての核には、常に磨きをかけ高めておくことが必要です。

あなたに合った方法を見つけて、ぜひ挑戦してみてください!

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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