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【霞と本焼】板前が使う包丁の種類|用途別・鋼材別に徹底解説

新人の板前

先輩!新しく包丁を買おうと思ってるんですけど、包丁の白紙とか、青紙って何ですか?

先輩の板前

包丁の材料である金属の種類だ。
自分に合った包丁を買うには、きちんと知っておくといいぞ。

包丁は板前にとって、最も大切な道具の1つです。
その包丁を購入する際に悩むことは、種類が多すぎて、どの包丁を買えばいいのかわからないことです。

自分の仕事内容や経験年数、研ぐのが得意か。
あるいは、調理場の広さやカウンターに立つかどうか。

その人よって必要な包丁が異なります。

数ある包丁を、それぞれの特徴を知らずに目的に合った包丁を買うことはできません。
特に鋼材については、多くの板前がその特徴を理解していません。

包丁選びを間違えると、大きなストレスを抱え、買い直すハメになります。
「切れ味よりも、サビにくい包丁が欲しい」
「鏡面仕上げの本焼きは、カッコイイな」
そのような思いをもとに、目的と予算に合わせて包丁を選ばなくてはいけません。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

 【詳しいプロフィールはこちら】

若い頃の僕は知識もなく、間違えた選び方で2本の包丁がお蔵入りしましたw

この記事では、

板前が調理場で使う包丁の種類ついて徹底的に解説します。

①構造による分類
 ・鋼のみの本焼
 ・2種類の金属を合わせた霞
②鋼材による分類
 ・サビやすい炭素鋼
 ・サビにくいステンレス
③用途による分類
 ・魚用
 ・野菜用
 ・万能型
 ・特殊

この記事を読むことで「包丁の種類についての知識」が身に付き、

  • 自分の目的に合った包丁を選ぶことができる
  • 後輩が欲しがっている包丁をアドバイスできる

ようになります。

伝統工芸品でもある和包丁は、見た目も美しくカッコイイものです。
お気に入りの包丁は気分も上がり、集中力や向上心にも好影響をもたらします。
美味しい料理を作り、お客様を満足させるための包丁を見つけましょう。

目次(INDEX)

【本焼きと霞の違い】鋼のみの本焼き|軟鉄を合わせた霞

まず、和包丁を構造的に分類すると、
単鋼の本焼き」と「合わせ鋼の霞」に分かれます。

この2種類は、
切れ味、メンテナンス性、価格が異なり、
目的に合わせて使い分けることが重要です。

比較表本焼き包丁霞包丁
切れ味
メンテナンス
価格
本焼と霞の比較

本焼はベテラン向きの包丁で、主に刺身を引く時などの鋭い切れ味が必要な場面で使用します。

一方、霞は初心者にも扱いやすく、板前20年以上の経験の僕でも、圧倒的に使用頻度の高い包丁です。

『本焼き包丁』

【本焼き包丁の特徴】

  • 混じり気のない鋼のみを原料とした和包丁
  • 主な鋼材は炭素鋼の白紙、合金鋼の青紙
  • 比較的低温で鍛造できる
  • 独特の波紋が美しい
  • 主な用途は柳刃やふぐ引などの刺身包丁
  • 製造難易度が高く高価

【本焼き包丁のメリット】

  • 単一鋼のため刃が歪みにくい
  • 硬度が高く、鋭い切れ味が持続する

【本焼き包丁のデメリット】

  • 製造難易度が高く、高価(霞の3~5倍値)
  • 硬いため研ぎにくく時間がかかる
  • 研ぎには相応の技術と砥石が必要
  • 衝撃で刃が欠けやすい

【板前にとっての本焼き包丁】

  • 高価でも欲しくなる特別な包丁
  • 仕事に対して集中力、向上心の原動力となる包丁

MEMO:本焼き包丁の水焼と油焼
「焼入れ工程」での熱した後の急冷方法の違い。
水焼入れの方が急激に冷せるため、よく締まり硬くなるが難易度が高い。
油焼入れの方が冷却は緩やかで失敗が少ない。
>>「包丁の製造工程」で詳しく解説

『霞包丁』

【霞包丁の特徴】

  • 裏側の刃は硬く光沢のある鋼
  • 表側に粘り強い霞がかった軟鉄
  • 高温での鍛接が必要

【霞包丁のメリット】

  • 丈夫で欠けにくく扱いやすい
  • 砥石ノリが良く研ぎやすい
  • 製造しやすく比較的安価

【霞包丁のデメリット】

  • 硬度の違いで歪みやすい
  • 本焼に比べて切れ味が甘い

【板前にとっての霞包丁】

  • 初心者が包丁の扱いに慣れる包丁
  • ベテランでも普段使いの包丁

【鋼材別】鋼の種類と特徴|切れ味最強!伝統の和包丁

次に、包丁を鋼材で分類すると、大まかには、
サビやすく切れ味のある鋼製」と「サビにくく手間のかからないステンレス製」に分かれます。

鋼(ハガネ)とは?【分類と添加元素】

鉄(Fe)は炭素の含有量によって分類され、包丁に使用される鉄の種類を「鋼鉄」と呼びます。

名称炭素量
純鉄(=軟鉄)
じゅんてつ
0.02%未満
鋼鉄
こうてつ
0.02%~2.14%
鋳鉄
ちゅうてつ
2.1%~6.67%
鉄の炭素量による名称

鉄の炭素量6%程度までならば、含有量が多いほど硬度は高くなります。
純鉄は柔らかすぎて刃物にならず、鋳鉄は硬すぎて研げません。

その他に含まれる元素によって性質が大きく変化します。

元素名プラス効果マイナス効果
炭素
【C】
強度
硬度
靭性
ケイ素
【Si】
脱酸効果
強度
過添加で脆化
マンガン
【Mn】
焼入れ性
強度
被削性
過添加で
残留オーステナイト生成
リン
【P】
なし
(不純物)
強度
靭性
硫黄
【S】
なし
(不純物)
靭性
溶接性
ニッケル
【Ni】
強度
靭性
焼入れ性
なし
クロム
【Cr】
焼入れ性
焼戻し抵抗
耐食性
なし
モリブデン
【Mo】
焼入れ性
焼戻し抵抗
なし
バナジウム
【V】
靭性向上
焼戻し抵抗
過添加で
焼入れ性
タングステン
【W】
硬度
焼戻し抵抗
高価

MEMO:効果解説
硬度:鋼の硬さ(=切れ味)
耐摩耗性:切れ味の持続性
靭性:粘り強さ(欠けにくさ)
耐食性:サビにくさ
研削性:研ぎやすさ
焼入れ性:鍛造工程の扱いやすさ

鋼製包丁の特徴

  • 板前の原点とも言える伝統のある包丁
  • 酸や水分ですぐにサビる

鋼製包丁のメリット

  • 鋭い切れ味がある
  • 砥石ノリが良く研ぎやすい
  • 丁寧な扱いで一生使える

鋼製包丁のデメリット

  • とにかくサビやすい
  • 欠けやすい
  • 雑な扱いで寿命は短くなる

日立金属の安来鋼|和包丁の原点

炭素鋼の大半は日立金属(現:プロテリアル)の安来鋼(ヤスキハガネ)という鋼材が使われています。

安来鋼には「黄紙、白紙、青紙」などのブランドがあり、
付箋のように目印として色紙を貼っていたことに由来します。

日本刀に採用される「玉鋼」を再現すべく、
JAS基準の鋼材「SK材」(工具鋼:Steel Kougu)をベースに、
黄紙→白紙→青紙の順で切れ味が増し高価となります。

【参考】日立金属 カタログ

鋼材硬度持続研ぎサビ価格
黄紙2号
白紙2号
白紙1号
青紙2号
青紙1号
青紙 S
硬度=切れ味 価格:◯→安価 ✕→高価

黄紙2号 炭素鋼 日立金属

黄紙2号
HRC硬度58 ±1
焼入温度帯760~800℃
炭素 (C)1.05~1.15%
ケイ素 (Si)0.10~0.20%
マンガン (Mn)0.20~0.30%
リン (P)0.030%以下
硫黄 (S)0.006%以下
黄紙2号評価
切れ味★★☆☆☆
持続性★☆☆☆☆
研ぎやすさ★★★★☆
欠けにくさ★★★☆☆
サビにくさ★☆☆☆☆
価格★☆☆☆☆

【黄紙2号の特徴】

  • 安来鋼のベースとなる鋼材
  • 黄紙から白紙、青紙と派生していく
  • 目印として黄色い紙が貼られていた
  • 主に家庭用包丁の鋼材
  • プロの板前は基本的に使用しない
  • 調理師学校などでも多く使われる包丁

白紙2号 炭素鋼 日立金属

「白紙1号に対して硬さを下げ、靭性(ねばり)を上げてあり刃欠けしにくく使い易い」

白紙2号
HRC硬度60 ±1
焼入れ温度帯760~800℃
炭素 (C)1.05~1.15%
ケイ素 (Si)0.10~0.20%
マンガン (Mn)0.20~0.30%
リン (P)0.025%以下
硫黄 (S)0.004%以下
白紙2号評価
切れ味★★★☆☆
持続性★★★☆☆
研ぎやすさ★★★☆☆
欠けにくさ★★☆☆☆
サビにくさ★☆☆☆☆
価格★★★☆☆

【白紙2号の特徴】

  • 黄紙から極限まで不純物を除いた鋼
  • 目印として白い紙が貼られていた
  • 切れ味と研ぎやすさのバランスの取れた鋼材
  • 初心者にも比較的扱いやすい
  • 他の鋼材との比較において基準となる鋼
  • きちんと研げば「鋭く切れ込む」包丁となる
  • 価格も安めで板前の仕事をする上で十分な包丁

白紙1号 炭素鋼 日立金属

「刃物用として特別に作られた不純物の少ない炭素鋼 切味抜群」

白紙1号
HRC硬度64 ±1
焼入れ温度帯760~800℃
炭素 (C)1.25~1.35%
ケイ素 (Si)0.10~0.20%
マンガン (Mn)0.20~0.30%
リン (P)0.025%以下
硫黄 (S)0.004%以下
白紙1号評価
切れ味★★★★★
持続性★★★★☆
研ぎやすさ★★☆☆☆
欠けにくさ★☆☆☆☆
サビにくさ★☆☆☆☆
価格★★★★☆

【白紙1号の特徴】

  • 白紙2号の炭素量を増加して硬度を上げた鋼
  • 不純物の極めて少ないピュアな包丁
  • 「最も切れる包丁」と言われ程とにかく切れる
  • が、何よりも焼入れが難しく、熟練の鍛冶職人が最高の包丁を作るという前提
  • 焼入れ次第で最高硬度HRC67に達し、非常に硬い
  • 比較的砥石ノリも良い
  • 衝撃に弱く、欠けやすいので扱いは要注意

青紙2号 合金鋼 日立金属

「青紙1号より硬度を少し下げ、より靭性を向上させているため使い易く、和包丁に最適である」

青紙2号
HRC硬度63 ±1
焼入れ温度帯780~830℃
炭素 (C)1.05~1.15%
ケイ素 (Si)0.10~0.20%
マンガン (Mn)0.20~0.30%
リン (P)0.025%以下
硫黄 (S)0.004%以下
クロム (Cr)0.20~0.50%
タングステン (W)1.50~2.00%
青紙2号評価
切れ味★★★☆☆
持続性★★★★☆
研ぎやすさ★★☆☆☆
欠けにくさ★★★☆☆
サビにくさ★☆☆☆☆
価格★★★☆☆

【青紙2号の特徴】

  • 白紙2号にクロームとタングステンを添加した鋼
  • 鍛冶屋泣かせの白紙から焼入れ性の向上
  • 優れた持続性で一度刃を付ければ、長く使える
  • 粘り強く欠けにくい
  • 切り口は滑らかなで美しい

青紙1号 合金鋼 日立金属

「白紙にタングステン、クロム等の特殊元素を配合し、その切れ味及び耐久性を向上させている」

青紙1号
HRC硬度64 ±1
焼入れ温度帯780~830℃
炭素 (C)1.25~1.35%
ケイ素 (Si)0.10~0.20%
マンガン (Mn)0.20~0.30%
リン (P)0.025%以下
硫黄 (S)0.004%以下
クロム (Cr)0.30~0.50%
タングステン (W)1.50~2.00%
青紙1号評価
切れ味★★★★☆
持続性★★★★★
研ぎやすさ★☆☆☆☆
欠けにくさ★★☆☆☆
サビにくさ★☆☆☆☆
価格★★★★☆

【青紙1号の特徴】

  • 青紙2号の炭素量を増加して硬度を上げた鋼
  • 非常に硬度が高く、よく切れる
  • 耐摩耗性も高く、抜群の切れ味が永く続く
  • 力を込めずとも素材が切れ細胞を破壊しない
  • 刃付けは困難で研ぐのに時間がかかる
  • 砥石も相応のものが必要

青紙スーパー 合金鋼 日立金属

「特殊溶解技術を駆使した高級刃物鋼。青紙1号よりもさらに硬く、靭性にも優れている」

青紙スーパー
HRC硬度66 ±1
焼入れ温度帯780~830℃
炭素 (C)1.40~1.50%
ケイ素 (Si)0.10~0.20%
マンガン (Mn)0.20~0.30%
リン (P)0.025%以下
硫黄 (S)0.004%以下
クロム (Cr)0.30~0.50%
タングステン (W)2.00~2.50%
バナジウム (V)0.30~0.50%
青紙スーパー評価
切れ味★★★★★
持続性★★★★★
研ぎやすさ★☆☆☆☆
欠けにくさ★★☆☆☆
サビにくさ★☆☆☆☆
価格★★★★★

【青紙スーパーの特徴】

  • 青紙1号よりもさらに硬く、すこぶる切れる
  • 安来鋼の最高硬度67を誇る鋼
  • 耐摩耗性は極めて高く、永切れする
  • 食材をたくさん切っても切れ味は落ちない
  • 耐摩耗性は研がれにくいことも意味し、刃付けには多大な労力がかかる
  • 粘り強さはなく欠けやすい
  • 欠けた場合、自力で修復は困難を極める
  • 砥石と研ぎ手の技量で真価を発揮する

【鋼材別】ステンレスの種類と特徴|錆びにくく手入れが楽

ステンレス鋼とは?【サビにくい鋼材】

ステンレス鋼はクロムを10.5%以上添加したサビにくい鋼材です。

成分含有率
鉄 (Fe)50%以上
クロム (Cr)10.5%以上
炭素 (C)1.2%以下
「ステンレス鋼」の定義

【ステンレス製包丁の特徴】

  • 最大の特徴は「サビにくい」

【ステンレス製包丁のメリット】

  • サビにくく手入れの手間を省ける
  • 鋼に比べて刃が欠けにくい
  • 種類が豊富で予算や目的に合わせられる

【ステンレス製包丁のデメリット】

  • 鋼より切れ味が劣る
  • 砥石ノリが悪く研ぎにくい
鋼材硬度持続研ぎサビ価格
モリブデン
銀3
V金10号
コバルトS
SG2
硬度:切れ味 価格:◯→安価 ✕→高価

モリブデン(AUS8) ステンレス鋼 愛知製鋼

モリブデン (AUS8)
HRC硬度60 ±1
焼入れ温度帯1050℃程度
炭素 (C)0.70~0.80%
ケイ素 (Si)0.80%以下
マンガン (Mn)0.50%以下
リン (P)0.04%以下
硫黄 (S)0.005%以下
ニッケル(Ni)0.30%以下
クロム (Cr)13.00~14.50%
モリブデン (Mo)0.10~0.30%
バナジウム (V)0.10~0.25%
モリブデン (AUS8)評価
切れ味★★☆☆☆
持続性★★☆☆☆
研ぎやすさ★★★☆☆
欠けにくさ★★☆☆☆
サビにくさ★★★★☆
価格★☆☆☆☆

【 モリブデン(AUS8)の特徴】

  • サビに強く、手入れしやすい
  • 家庭向け包丁にも多く使われる
  • 医療用メスにも使用される
  • モリブデンの中でも「AUS8」は流通量が最も多い
  • 主に牛刀で多くの板前が保有

銀3 ステンレス鋼 日立金属

銀3
HRC硬度61 ±1
焼入れ温度帯1040~1090℃
炭素 (C)0.95~1.10%
ケイ素 (Si)0.35%以下
マンガン (Mn)0.60~1.00%
リン (P)0.030%以下
硫黄 (S)0.020%以下
クロム (Cr)13.00~14.50%
銀3評価
切れ味★★★★☆
持続性★★★☆☆
研ぎやすさ★★★★☆
欠けにくさ★★☆☆☆
サビにくさ★★★☆☆
価格★★★☆☆

【銀3の特徴】

  • 銀色の紙が貼られたことはない
  • ステンレスなのに鋼のような使い心地
  • サビにくく抜群の切れ味、かつ研ぎやすい
  • 使い勝手がよく、板前も愛用者多い

V金10号 ステンレス鋼 武生特殊鋼材

V金10号
HRC硬度62 ±1
炭素 (C)1.00%
クロム (Cr)15.00%
モリブデン (Mo)1.00%
バナジウム (V)0.25%
コバルト (Co)1.55%
V金10号評価
切れ味★★★☆☆
持続性★★★★☆
研ぎやすさ★★☆☆☆
欠けにくさ★★★★☆
サビにくさ★★★★☆
価格★★★☆☆

【V金10号 の特徴】

  • クロム、モリブデン、コバルトの添加で高硬度化
  • 持続性は高く、永切れする
  • バランス良く人気の高い鋼材
  • 模倣品も多く出回るため、信頼できる所で買うこと

コバルトスペシャル ステンレス鋼 武生特殊鋼材

コバルトスペシャル
HRC硬度63 ±1
焼入れ温度帯780~830℃
炭素 (C)1.05%
クロム (Cr)16.00%
モリブデン (Mo)1.50%
バナジウム (V)0.25%
タングステン (W)0.25%
コバルトスペシャル評価
切れ味★★★★☆
持続性★★★★☆
研ぎやすさ★★★☆☆
欠けにくさ★★☆☆☆
サビにくさ★★★★★
価格★★★★★

【コバルトスペシャルの特徴】

  • 特殊溶解法で成分が均一
  • 耐食性、耐摩耗性、研削性、加工性に優れる
  • ステンレスの超高級鋼種
  • 持っている板前は少ない

スーパーゴールド2(SG2) 粉末ハイス鋼 武生特殊鋼材

SG2
HRC硬度66 ±1
成分未公開
SG2評価
切れ味★★★★★
持続性★★★★★
研ぎやすさ★★☆☆☆
欠けにくさ★★★★☆
サビにくさ★★★★★
価格★★★★★

【SG2の特徴】

  • 粉末ハイス鋼で非常に硬度が高い
  • 切れ味とその持続性が極めて良好
  • 砥石との相性もあり研ぐのが難しい

MEMO:粉末ハイスとは
鉄の融点1583℃以上に熱し、液体状の鋼を噴霧、急速凝固させた鋼の粉末を焼き固めた鋼材。
組織がより小さく、均一化されるため高硬度、高靭性、耐摩耗性、耐食性に優れている

板前の包丁|用途別に豊富な種類

さらに、和包丁を用途で分類すると、
「魚」「野菜」「万能」「特殊」の4つに分かれます。
目的に合わせて様々な形状とサイズがあります。

用途包丁の種類
刺身を引く柳刃
蛸引
てっさ
魚を卸す出刃
相出刃
身卸し
野菜を切る薄刃
むきもの
肉を切る牛刀
果物を切るペティナイフ
専用包丁鱧切り
鰻裂き
芋切り

関西の料理屋には「店の包丁」があり、板前が自分で買い揃えることは少ないそうです。
ところが、関東では板前が自前の包丁で用意するのが通常です。

数万円から十数万円する包丁を、1人の板前が20本以上揃えていることもあります。

刺身を引くための包丁【柳刃・蛸引・てっさ】

【柳刃包丁】

関西型。
現在は関東でも圧倒的に多く使われている。
そりのある長い刃渡りで、刺身を一太刀で引ききることができる。

【蛸引包丁】

関東型。
直線的な刺身包丁で、
現在は関東の板前でも使う人は少ない。
ちなみにタコ専用の包丁ではない。

【先丸刺身包丁】

日本刀のような先端とソリのある峰が特徴。

【てっさ包丁】

フグの薄造り用。
身のしまったフグを薄く引くためにしなりがある。
柳刃よりも幅がせまく、峰も薄い。

魚を卸すための包丁【出刃・相出刃・身卸し】

【出刃包丁】

重く厚く、魚の骨をも断ち切る。
トリやウズラなどの肉に使う場合も。
大きさが様々で、目的に合わせてサイズを選ぶ。

【相出刃】

出刃を柳刃に寄せた形状。
身をおろす、柵取るまで応用できる。
さらに柳刃に寄せ、薄く長い形状が身卸し出刃。
フグの皮引きにも使う。

野菜を切るための包丁【薄刃・むきもの】

【薄刃包丁】

四角い関東型と関西の峰先がカーブする鎌形。
主に打ちものや大根の桂むきをする。
刃線をまっすぐに研ぐ必要があり、研ぎの難易度は高い。

【むきもの包丁】

薄刃を小さく薄く、峰先を切付状にした包丁。
小回りが効いて里芋の六方むき、飾り切りなどに向く。

万能な包丁【牛刀・ペティナイフ】

【牛刀】

洋包丁ながら板前の現場でも活躍。
柄の部分が和タイプと洋タイプがある。
肉はもちろん、果物や柑橘類などの酸にも強いステンレス。

【ペティナイフ】

刃渡り15cm以下の小型の包丁。
細かい飾り切りやちょっとした時に。

食材に特化した専用包丁【芋切り・鱧切り・鰻裂き】

【芋切り】

両刃で厚さが極薄い菜切包丁。
長芋や西瓜などの包丁を入れた瞬間に割れてしまうことを回避できる。

【鱧切り】

刃渡りも長く、厚みと重みのある包丁。
身に無数の骨がある鱧の骨を断ち切るための専用。
高度な技術が必要で皮1枚だけを残さなくてはならない。

【鰻裂き】

ドジョウやアナゴ、ウナギをさばくための包丁。
地域によって大きく形が変わる。
関東では切腹をイメージさせるため背開きが主。

【包丁の種類|まとめ】一流の板前への第一歩

包丁は板前にとって命。

しかし、
自分の目的や使い勝手の良さ、
愛着の持てる包丁を選ぶことは、
とても難しいことです。

この記事では、板前が使う包丁の種類について、
本焼と霞の違い、鋼材の特徴、用途別に詳しく解説しました。

これらの知識を参考に、
あなた自身の仕事や好みに応じた包丁を適切に選ぶことができます。

僕のように、間違った包丁選びで、必要のない包丁を購入してしまうのはもったいないことです。

【良い包丁】は、
料理を確実に引き立て、
食材の鮮度や旨味を損なわず、
見た目にも美しくなります。

【良い包丁】は、
効率的な作業に貢献し、
モチベーションにも大きな影響を与え、
料理の楽しさややりがいにもつながります。

ぜひ、この記事で紹介した包丁の種類を参考にして、
あなたにぴったりの愛着の持てるような包丁を見つけてください。

包丁選びは、一流の板前への第一歩です。

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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