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令和時代の飲食業界の転職傾向|統計データを学び転職に活かす

新人の板前

あー!こんな給料の安い店で働くのはもうヤダ!!

先輩の板前

君ももう5年目だ。そろそろ転職を考えてもいい頃かもな。
板前の転職なんて、昔から当たり前のことだ。

近年、社会全体の傾向としても転職は身近なコトとなっています。

特に飲食は、多くの人が転職を経験し、人材の入れ替わりの激しい業界です。
事実、20年以上料理人をしている僕は「転職をしたことのない料理人」に会ったことがありません。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

 【詳しいプロフィールはこちら】

本記事では、

  • 板前歴20年超え、転職経験6回の経験
  • 厚生労働省やマイナビの統計データ

に基づいて、令和時代の飲食業における転職の現状を分析し、転職を考える板前さんに役立つ情報を提供します。

目次(INDEX)

【転職は当たり前】飲食業界の転職事情

まずは、
「板前歴20年超え、転職経験6回の経験」から
板前の転職の現状をお伝えします

≫僕の詳しい経歴は「プロフィール」

転職したことのない板前に出会ったことがない

僕は板前として、
20年以上様々な職場で勤務してきた経験があります。

その経験から、
転職を経験していない板前はほとんどいないと断言できます。
(現在の職場の新卒者は転職していませんが……)

料理人の修行の成果は、
複数の店や親方から料理を学び、
幅広く技術や知識を身につけ、
自身のスタイルを確立していくものです。

その過程で、
様々な人と出会い、
様々な経験をする中で、
自分にとってより良い環境を求めて
転職を考えることは自然な流れと言えるでしょう。

飲食業界の転職率は最も高い

僕の感覚を裏付けるように、
厚生労働省の「令和4年 雇用動向調査」によると、
「宿泊業、飲食サービス業」の転職率は、
全業種の中で最も高いことが分かっています。

(※転職率とは:全労働者に対する「1年以内の転職者」の割合)

スクロールできます
業種労働者数入職者数入職率内、転職者転職者の
入職率
離職者数
全業種合計51,198.97,798.015.2%4,969.99.7%7,656.7
鉱業、採石業、
砂利採取業
11.91.08.4%0.86.7%0.8
建設業2,725.8220.58.1%155.25.7%287.1
製造業7,737.6739.09.6%480.86.2%788.8
電気、ガス、
熱供給、水道業
253.219.27.6%12.34.9%27.0
情報通信業1,587.0206.113.0%126.78.0%189.4
運輸業、郵便業3,078.6315.410.2%246.98.0%378.0
卸売業、小売業9.581.31,304.613.6%734.37.7%1.400.4
金融業、保険業1,366.396.17.0%58.24.3%113.5
不動産業
物品賃貸業
795.2146.418.4%103.813.1%109.7
学術研究、
技術サービス業
1,574.8188,812.0%127.58.1%156.8
宿泊業
飲食サービス業
4,865,91,682.834.6%893.718.4%1,302.3
生活関連サービス業
娯楽業
1,564.7363.223.2%254.416.3%293.1
教育
学習支援業
3,396.1503.514.8%344.010.1%514.6
医療、福祉7.910.31.138.114.4%760.79.6%1,210.0
複合サービス事業412.528.77.0%18.84.6%45.2
サービス業
(他に分類されないもの)
4,337.6844.419.5%651.715.0%840,0
出典:厚生労働省 令和4年 雇用動向調査
(人数単位:千人)

この表から、
宿泊業・飲食サービス業は特に転職率が高く、
約5人に1人は「1年以内の転職者」であることが分かります。

【2023年】飲食業界の転職実績
  • 労働者数 約486.5万人
  • 入職者数 約168.2万人(34.6%) 
  •  内、転職者 約89.3万人(18.4%)
  • 離職者数 130.2万人(26.8%)

    ※()の数値は労働者全体に対する割合
    入職者は転職者の他、新卒者やフリーターなどを含む
    転職者は1年以内の中途採用者を指す

これまでの板前の転職パターン

板前の転職には、以下のようなパターンがあります。
僕自身も含め、これまでは知人の紹介で新しい職場が決まっていました。

親方や先輩の紹介

最も多いのが、親方や先輩の紹介で転職することです。

紹介者が尊敬や信頼できる人格者であれば、自分にとってステキな店に移ることもできると思います。

しかし、ほとんどの場合、そのような人物からの紹介ではないでしょう。

親方や先輩の紹介でヤッカイなこと

・給料などの待遇を交渉できない
・季節ごとに足を運び挨拶する
・人間関係のしがらみから抜け出せない

時間的、精神的、金銭的に負担となり、とても面倒です。

専門学校の先生の紹介

専門学校の先生からの紹介で転職した板前も少なくありません。
しかし、いつまでもお世話になった先生がいるとは限りません。

独立開業

自らがオーナーシェフとなり、経営と調理をするパターンもあります。
しかし、十分な資金や差別化、マーケティングといった料理以外の勉強・センスも必要となります。
独立を目指す板前も多くいますが、大きなリスクも伴います。

これからのオススメの転職方法

転職のプロ「エージェント」に助けてもらう

  • 希望に合った待遇
  • やりがいのある仕事
  • モチベーションを刺激する人間関係

そのような働きやすい環境転職エージェントは一緒に探してくれます。

エージェントは
「経験者を採用したい企業」と
「転職をしたい人」をつなぎ合わせる転職のプロです。

転職エージェントを利用するメリット
  • 第三者だから関係が楽チン
  • 求職者は完全無料
  • 求人情報が豊富で濃い
  • 面接や書類作成もサポート
  • 給料交渉までしてくれる

≫「転職エージェント」について詳しく

世の中の転職に対する考え方と統計

次に、
厚生労働省やマイナビの統計データ」
に基づいて全産業の転職の現状をお伝えします。

仕事に対する考え方

現代社会において、
転職はもはや特別なことではなく、
待遇改善や自身の価値を高めるために当たり前の選択肢となっています。

マイナビキャリアリサーチの調査によると、転職を「前向きな行動」と捉える人は64.8%に達し、副業への関心も高まっています。

仕事に関する考え方賛成反対
転職は簡単にできる42.6%30.3%
転職は前向きな行動である64.7%12.1%
転職経験は有利である41.9%21.3%
転職は必要である52.3%14.1%
自身で事業を起こしたい28.1%48.5%
副業を始めたい56.3%21.7%
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

【副業への関心の高まり】

近年、副業への関心も高まり、
「副業を始めたい」と回答した人が57.1%に達しています。

これは、収入アップやスキル向上、新たな挑戦など、副業を通じて様々なメリットを得られることを多くの人が認識していることを示しています。

飲食業界でも、副業解禁など社会環境の変化も後押しし、今後も副業はますます一般的になっていくと考えられます。

【料理人の副業の例】

  • 料理に関するYouTube動画を作成
  • 休日に出張料理
  • 忙しく人手の足りない店に助っ人

転職を考えるようになった理由

転職を考える理由は人それぞれですが、以下の理由が上位に挙げられています。

スクロールできます
転職理由2023年2022年2021年2020年2019年
給与が低い11.5%12.5%9.8%9.9%10.7%
人間関係が悪い9.1%9.3%9.9%9.7%12.4%
会社の将来性に不安8.0%6.5%6.9%6.7%8.0%
仕事内容が不満7.0%6.6%5.9%6.9%7.2%
休日、残業などの
待遇不満
5.2%5.5%5.1%6.1%8.5%
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

【2023年転職者のホンネ】
1. 給与が低い(11.5%)

多くの企業で給与水準が低迷しています。特に、中小企業では十分な給与を支払えないケースもあり、物価上昇の影響や将来が不安といった理由で転職を考える人も少なくありません

2. 職場の人間関係が悪い(9.1%)

職場の雰囲気や人間関係は、仕事へのモチベーションに大きく影響します。パワハラやいじめなどの人間関係が原因で、転職を考える人も目立ちます。

3. 会社の将来性、安定性に不安があった(8.0%)

会社の経営状況が悪化したり、倒産の可能性を感じたりした場合、将来の不安から転職を考える人もいます。

4. 仕事内容に不満がある(7.0%)

希望していた仕事内容と異なっていたり、ワンパターンな作業に飽きてしまったり、スキルアップの機会が少ないと感じたりなどが原因で転職を考える人もいます。

5.休日、残業などの待遇不満 (5.2%)

休日出勤や長時間労働が当然のように繰り返され、時間に追われてしまうパターン。余暇に遊んだり、休むことも働く上でとても重要です。

【飲食業界のホンネ】

  • 給料水準が低い
  • パワハラがきつい
  • 雑用しかやらせてくれない

このような悩みを抱えて転職した人を数多く見てきました。

転職をためらう理由

転職をしたいと思っていても
ためらってしまう理由は以下の通りです。

理由割合
転職活動をする時間がない29.0%
きっかけがなく判断できない11.0%
すぐに転職先が決まるか不安10.0%
気力がない/面倒8.0%
今の会社に迷惑かかる7.0%
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

そもそも、今の仕事が忙しくて転職活動をする時間がないことが最大の理由です。
転職は機会も少なく、知識やノウハウがないため大きなパワーを必要とします。

転職の情報収集方法

転職活動において、
求職者が情報収集に利用するサービスは以下の通りです。

求人情報を見たり、会社の口コミを調べたり、履歴書の書き方に悩んだりと情報収集は欠かせません。

サービス割合
転職サイト47.5%
人材紹介会社24.7%
ハローワーク24.4%
紙媒体9.5%
SNS8.5%
企業説明会7.5%
縁故(コネ、ツテ)7.5%
(複数回答)
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」
【転職サイト】

スマホで簡単に調べられ、最も利用率が高い

良い点悪い点
情報量が最多知りたい情報を探す
手間がかかる
マイペースに
転職活動できる
面接や書類作成が
不慣れで大変
【人材紹介会社】オススメ★


利用者増加中!!
エージェントと呼ばれる転職のプロがサポート

良い点悪い点
非公開求人がある初回は面談が必要
面接や書類作成まで
サポートしてもらえる
企業側に伝えにくい
給料交渉してくれる
【ハローワーク】

年々利用者は減っている公的な職業紹介所

良い点悪い点
地元の求人が多いネット上の情報が少ない
相談やサポートあり自らアクションする
必要がある

人材紹介会社とは?

転職エージェントとも呼ばれ、企業と求職者をマッチングするサービスを提供します。
求人情報の紹介だけでなく、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、入社後のフォローアップなど、転職活動に関するあらゆるサポートを受けることができます。

転職エージェントについて詳しく

転職活動期間

3ヶ月以内に決まる人が半数以上

転職活動は、
比較的短期間で決まっています。

期間割合 (%)
2週間未満9.4%
2週間~1か月未満9.7%
1か月~2か月未満27.1%
2か月~3か月未満20.9%
3か月~半年未満18.6%
半年~1年未満8.3%
1年以上5.9%
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

希望の条件に合致する求人が少ない場合や、転職活動に注力できる時間がない場合は、1年以上かかるケースも想定されます。
計画的な転職活動を進めるために、早めに準備を始めることが重要です。

転職先を選ぶ基準

給与とワークライフバランス

求職者が転職先を選ぶ際に重視する基準は以下の通りです。

スクロールできます
項目2023年2022年2021年2020年2019年
給与が良い14.1%15.4%10.9%12.9%13.6%
休日や残業時間が
適正範囲内
10.0%9.8%10.9%10.0%15.5%
希望の勤務地である9.9%9.2%10.2%12.4%10.5%
新しいキャリア・スキルを
身につけることができる
6.5%5.6%5.8%7.0%6.1%
福利厚生が整っている5.7%4.3%3.7%5.4%3.2%
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

やはり最大の決め手は給料

長時間労働や休日出勤が少ない職場、
希望の勤務地を選べる環境などが求められているようです。
また、キャリアアップやスキルアップの機会も転職の重要な判断基準となっています。

転職者の年代・性別分布

転職者の割合分布
男性20代 18.9%
男性30代 23.3%
男性40代 15.8%
男性50代  8.4%
女性20代 15.1%
女性30代 8.7%
女性40代 6.7%
女性50代 3.0%

転職者全体からみると、
若い世代の男性の割合が目立ちます。

企業側の本音

転職を成功させるためには、企業が求める人物像と自分の価値観がマッチしていることが大切です。

「転職が成功する」とは、
より良い条件を引き出し、採用されること。

そのためには、企業側の意図を知る必要があります。
以下の2点を理解しておく必要があります。

  • 転職者を採用したい理由
  • 転職者の待遇決める要素

転職者を採用する理由

転職者を採用した理由(複数回答)

理由割合
離職者の補充のため61.6
経験を活かし即戦力になるから54.9
職場への適応力があるから29.5
専門知識・能力があるから23.9
新卒者の採用が困難なため9.2
幅広い人脈を期待できるから4.6
親会社・関連会社からの要請のため2.6
その他6.1
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

つまり一言で表すならば
【経験や能力、知識のある人物を採用し、離職者の穴を埋めるため】
です。

具体的に、転職者を採用する主な理由は以下の3つです。

  1. 即戦力として活躍できる人材を求めている
    • 経験やスキルを活かして、すぐに仕事に貢献できる人材
    • 新卒者よりも、短期間で戦力となることを期待
  2. 専門知識や能力を持っている人材を求めている
    • 専門性の高い資格を持っている人材
    • 特定の分野で培ってきた知識や経験を活かせる人材
  3. 職場への適応力がある人材を求めている
    • これまでの職場で培ってきたコミュニケーション能力や協調性
    • 新しい環境にもすぐに馴染める人材

転職者として企業に採用してもらうためには、
経験や能力、専門知識を身につけておくことがとても大切です。

転職者の待遇を決める要素

転職者の待遇を決める要素は以下の通りです。(複数回答)

項目飲食業産業全体
これまでの経験能力89.874.7
年齢41.745.2
免許資格32.737.3
前職の賃金24.725.3
前職の役職4.45.5
学歴0.611.0
不明0.53.2
その他13.616.1
出典:マイナビキャリアリサーチ「転職動向調査2024」

転職先での待遇は「経験や能力」が圧倒的に影響を与えます。

特に飲食業界ではその傾向が極めて高く、技術や知識の必要性を感じずにはいられません。

例えば、「魚を卸す」。
数年でも板前を経験していれば多くの人が「卸せる」と答えるでしょう。しかし、そのスピードやキレイさを入社前の段階で数値化したり、程度を測ることはできません。

一方で資格や免許は「技術と知識を証明」してくれます。

ふぐを扱う料理屋での「ふぐ調理師免許」
お客様に接するカウンターでの「利き酒師」
野菜がウリの店での「野菜ソムリエ」

このような資格は待遇を決める上で確実に評価されます。

より良い条件で採用されるためには、
経験や能力、専門知識を身につけて、
資格や免許の取得しておくことがとても大切です。

まとめ【板前の転職】

この記事では、
板前の転職に関する現状と統計データを基に、
令和時代の飲食業界における転職事情を詳しく解説しました。

転職が一般的な選択肢となっている現代において、
板前も例外ではなく、
多くの料理人がより良い環境を求めて転職を繰り返しています。

主なポイント

  1. 転職率の高さ:統計からも明らかなように、飲食業界の転職率は全業種中で最も高い。
  2. 転職の理由:給与の低さや人間関係、会社の将来性に対する不安など。
  3. 転職方法の変化:親方や先輩の紹介から、転職エージェントの利用が増加。
  4. 転職活動の重要性:計画的な転職活動と情報収集が重要。
  5. 自分の価値を高める:経験や専門知識、免許取得でより良い待遇を。

板前としてのキャリアを考える際には、これらの情報を参考にし、より良い職場環境を見つけるための行動を起こしていきましょう。

特に初めての転職には、
転職エージェントの活用でサポートを受けつつ理想の仕事を実現しましょう。

\完全無料の転職エージェント/

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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