先輩~
大根のけんって繊維に対して縦と横、どっちの方向に打つんでしたっけ?
それは、刺身をどのように盛るか、刺身の妻をどのように使うかを考えれば自ずとわかることだ。
今回は刺身の妻について話をしよう。
刺身に添えられる「大根のけん」は、包丁技術の基本であり、脇役として主役を引き立たせるものです。
今回はこのけんの「縦と横」について詳しく解説します。
大根のけんとは?
大根のけんとは、【桂剥きにした大根を細く千切りにしたもの】です。
けんは、【繊維に対して縦に切るか横に切るか】で、見た目や役割が異なります。
まずは、刺身のあしらいである「妻」について解説します。
刺身の「妻」とは?
「妻」とは、刺身に添えられる副食材を指す用語です。江戸時代には、夫を支える妻の姿が、主役である刺身を引き立てる「妻」として表現されるようになりました。このように、刺身とその添え物には深い意味と歴史があります。
妻の役割
刺身の妻は、もともとは冷蔵庫が存在しなかった時代に、刺身の殺菌や消臭、解毒を目的として使われていました。現代では、主に口直しや彩りを添えるために使用されます。鮮やかな色合いが、料理全体に季節感や美しさをもたらします。
妻の種類
刺身に添えられる妻には、さまざまな種類があります。
- けん:大根や人参を細長く千切りにしたもの。
- より:桂剥いた人参や独活を斜めに切り螺旋状にしたもの。
- その他:紫蘇(大葉)、紅たで、防風、海藻類、食用花など。季節感を添えるために、旬の野菜や型抜きした野菜なども使われます。
大根のけんの種類【縦と横】
大根のけんは、繊維に対して切り方を変えることで「縦けん」と「横けん」という異なるタイプに分けられます。
「縦けん」
繊維に沿って打ち、直線的な形状で、器の手前に立て飾る際に使われます。
「横けん」
繊維に逆らって打ち、丸まった形状で、刺身の下に敷く際に適しています。
【けんの打ち方】
大根を10~15cmに切り、皮を剥き、極薄い桂剥きにする。トイレットペーパーのように片側から巻いていく。
まな板の上に巻いた桂剥きを広げ重ねていく。5~6cmほどの幅でサク取りする。
サク取りした大根を極細く打てる高さまで重ね、置く向きを確認する。
できる限り極細く打ち、水に放つ。
縦けんの大根はまっすぐ。
横けんの大根は丸まっている。
しばらく流水にさらし、ザルに移し、水気を切る。
ちなみに、多くの大根を桂剥くにはとても時間がかかります。そこで、オススメなのは【ピールS】。
もちろん、桂剥きが包丁技術の基本であり、包丁で剥くのが王道です。
しかし、ただでさえ忙しい調理場において、【早さ】は圧倒的な武器となります。道具に頼るべきときは頼りましょう。
【大根のけん】縦けんと横けんのまとめ
大根のけんは、刺身の美しさを引き立てると共に、口直しや彩りとしても重要な役割を果たします。
そのけんは、包丁する向きで見た目や用途が異なるのが特徴です。
項目 | 縦けん | 横けん |
---|---|---|
繊維 | 繊維に沿う | 繊維に逆らう |
見た目 | 直線的 | 丸まっている |
用途 | 手前に立て飾る | 下に敷く |
多くの店では横けんとして、メインとなる刺身の下のシソの葉の下に敷いて用います。
また、スーパーの刺身に敷いてある大根のけんとは似て非なるものです。
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