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【縦けん/横けん】大根のけんとは?刺身の「妻」の魅力と役割

新人の板前

先輩~
大根のけんって繊維に対して縦と横、どっちの方向に打つんでしたっけ?

先輩の板前

それは、刺身をどのように盛るか、刺身の妻をどのように使うかを考えれば自ずとわかることだ。
今回は刺身の妻について話をしよう。

刺身に添えられる「大根のけん」は、包丁技術の基本であり、脇役として主役を引き立たせるものです。

この記事を書くのはプロの板前!

  • 板前一筋22年、料理長経験
  • 東京都ふぐ免許保有
  • 都心の料亭やミシュラン獲得店、会員制クラブなどに勤務

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今回はこのけんの「縦と横」について詳しく解説します。

目次(INDEX)

大根のけんとは?

大根のけんとは、【桂剥きにした大根を細く千切りにしたもの】です。

けんは、【繊維に対して縦に切るか横に切るか】で、見た目や役割が異なります。

まずは、刺身のあしらいである「」について解説します。

MEMO:あしらい
メインを引き立てるための要素。香りを付けたり、彩りを加えるための添え物。

刺身の「妻」とは?

「妻」とは、刺身に添えられる副食材を指す用語です。江戸時代には、夫を支える妻の姿が、主役である刺身を引き立てる「妻」として表現されるようになりました。このように、刺身とその添え物には深い意味と歴史があります。

妻の役割

刺身の妻は、もともとは冷蔵庫が存在しなかった時代に、刺身の殺菌や消臭、解毒を目的として使われていました。現代では、主に口直しや彩りを添えるために使用されます。鮮やかな色合いが、料理全体に季節感や美しさをもたらします。

妻の種類

刺身に添えられる妻には、さまざまな種類があります。

  • けん:大根や人参を細長く千切りにしたもの。
  • より:桂剥いた人参や独活を斜めに切り螺旋状にしたもの。
  • その他:紫蘇(大葉)、紅たで、防風、海藻類、食用花など。季節感を添えるために、旬の野菜や型抜きした野菜なども使われます。

大根のけんの種類【縦と横】

大根のけんは、繊維に対して切り方を変えることで「縦けん」と「横けん」という異なるタイプに分けられます。

「縦けん」
繊維に沿って打ち、直線的な形状で、器の手前に立て飾る際に使われます。

「横けん」
繊維に逆らって打ち、丸まった形状で、刺身の下に敷く際に適しています。

MEMO:打つ
「打つ」とは「切る」の意味で、通常は千切りや小口切りなど細く薄く切ることを指します。

【けんの打ち方】

STEP
大根を桂剥く

大根を10~15cmに切り、皮を剥き、極薄い桂剥きにする。トイレットペーパーのように片側から巻いていく。

STEP
サク取りする

まな板の上に巻いた桂剥きを広げ重ねていく。5~6cmほどの幅でサク取りする。

STEP
重ね向きを確認

サク取りした大根を極細く打てる高さまで重ね、置く向きを確認する。

横けんは繊維に対して直角
縦けんは繊維に対して平行
STEP
打ち、水に放つ

できる限り極細く打ち、水に放つ。

縦けんの大根はまっすぐ。

横けんの大根は丸まっている。

STEP
水気を切り、完成

しばらく流水にさらし、ザルに移し、水気を切る。

ちなみに、多くの大根を桂剥くにはとても時間がかかります。そこで、オススメなのは【ピールS】。

もちろん、桂剥きが包丁技術の基本であり、包丁で剥くのが王道です。

しかし、ただでさえ忙しい調理場において、【早さ】は圧倒的な武器となります。道具に頼るべきときは頼りましょう。

【大根のけん】縦けんと横けんのまとめ

大根のけんは、刺身の美しさを引き立てると共に、口直しや彩りとしても重要な役割を果たします。

そのけんは、包丁する向きで見た目や用途が異なるのが特徴です。

項目縦けん横けん
繊維繊維に沿う繊維に逆らう
見た目直線的丸まっている
用途手前に立て飾る下に敷く

多くの店では横けんとして、メインとなる刺身の下のシソの葉の下に敷いて用います。

また、スーパーの刺身に敷いてある大根のけんとは似て非なるものです。

機械で切られたけんと、プロの打つけんでは「ツヤ、食感、味、香り」全てが異なります。

道理を理解し、理に叶う方法で行う仕事がプロの仕事です。

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この記事を書いた人

板前歴22年。
日本料理の技術と知識と心構えを高めて、
自信を持ち、豊かな板前LIFEを送ろう。

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