新人 けんた先輩、ふぐの毒って、どこにあるんですか?



種類と部位で違う。一般には肝臓、卵巣、皮の毒が強い。



煮たり、塩もみしたりしたら、毒は消えますか?



消えない。加熱でも塩もみでも、無毒にはならないんだ。
フグの毒(テトロドトキシン)は、種類と部位によって強さが大きく違い、一般に肝臓・卵巣・皮の毒力が強いとされます。生のまま食べてよいのは、国の通知が種類ごとに決めた部位(筋肉・皮・精巣のうち一部)です。塩蔵して毒を減らした卵巣・皮を扱う決まりもありますが、家庭で試すものではありません。
この記事の要点
- 毒力は、種類と部位で著しく異なる。一般に肝臓・卵巣・皮が強い(厚生労働省)
- 食べてよい部位は、筋肉・皮・精巣の中から種類ごとに決まっている(塩蔵で毒力を基準以下にした卵巣・皮を扱う決まりもある)。肝臓はどの種類でも不可
- 毒は、塩もみ・水にさらす・加熱では無毒化されない。有効な解毒剤もない
- 症状は食後20分〜3時間でしびれや麻痺が出る。素人調理はしない
※2026年9月27日時点の公式情報にもとづきます。
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フグの毒はどこにある?
フグ目フグ科のフグは、猛毒のテトロドトキシンをもちます。毒力の強さは、フグの種類と部位によって著しく異なり、一般に肝臓・卵巣・皮の毒力が強いと、厚生労働省のリスクプロファイルは説明しています。
ふぐ処理者の認定基準でも、実技で肝臓・腎臓・脾臓・心臓・胆のう・生殖巣・胃腸などを鑑別し、食べられる部位と食べられない部位に分けることが求められています。
食べられる部位は種類ごとに決まっている
国の局長通知(フグの衛生確保について)が、食べてよい種類と部位を決めています。生のまま食べられる部位は、筋肉(骨を含む)・皮(ひれを含む)・精巣のうち、種類ごとに決まった部位です。通知が認める種類は22種類です。
筋肉だけ食べられる種類(4種)
クサフグ・コモンフグ・ヒガンフグ・サンサイフグ。皮と精巣は食べられません。
筋肉と精巣が食べられる種類(7種)
ショウサイフグ・マフグ・メフグ・アカメフグ・ゴマフグ・ハコフグ・ナシフグ。皮は食べられません。ナシフグは漁獲した海域などの条件つきです。
筋肉・皮・精巣が食べられる種類(11種)
トラフグ・カラス・シマフグ・カナフグ・シロサバフグ・クロサバフグ・ヨリトフグ・イシガキフグ・ハリセンボン・ヒトヅラハリセンボン・ネズミフグ。
通知には、次の決まりもあります。
- 適用されるのは、日本の沿岸域、日本海、渤海、黄海、東シナ海で漁獲されたフグ。ただし、岩手県の越喜来湾・釜石湾と宮城県の雄勝湾で漁獲されたコモンフグ・ヒガンフグには適用されない
- 雌雄同体の「両性フグ」の生殖巣は、すべて有毒部位
- トラフグとカラスの中間種は、両種とも食べられる部位だけを食べられる部位とする
- ナシフグの筋肉は、有明海・橘湾・香川県と岡山県の瀬戸内海域で漁獲されたものに限る。精巣は、有明海と橘湾で漁獲され、長崎県が定める要領に基づいて処理されたものに限る。皮は不可
このほか、通知には、塩蔵した卵巣や皮で、毒力がおおむね10MU/g以下になったものを扱う決まりもあります。処理の条件が細かく決まっているため、家庭で試すものではありません。
白子(精巣)は食べられる?
種類によります。精巣が食べられないのは、クサフグ・コモンフグ・ヒガンフグ・サンサイフグの4種です。雌雄同体の両性フグの生殖巣は、すべて有毒部位です。ナシフグの精巣は、有明海と橘湾などの条件を満たしたものだけです。
肝臓は、養殖でも提供できない
厚生労働省は、フグの肝臓は有毒部位であり、天然か養殖かに関わらず、販売や提供は食品衛生法で禁止されていると説明しています。違反すると罰則があります(三年以下の拘禁刑または三百万円以下の罰金。法人は罰金の上限が1億円)。
養殖トラフグの肝臓を食べられるようにする提案は、過去に2回、食品安全委員会が評価しました。結論は、食品としての安全性が確保されていると確認できない、というものでした。厚生労働省は、肝臓の販売・提供を禁止する原則を変更することはないとしています。
毒は、調理では消えない
厚生労働省は、フグの毒は「塩もみ、水にさらす、加熱などの調理では、無(弱)毒化されることはありません」と説明しています。煮込んだ鍋でも、流水で洗っても、塩をまぶしても、毒は消えません。
中毒の症状と発生状況
食後20分から3時間ほどの短い時間で、しびれや麻痺が出ます。麻痺は口びるから手足、全身に広がり、重症の場合は呼吸困難で死亡することがあります。有効な解毒剤は今のところなく、人工呼吸で呼吸を確保すれば、延命できるとされています。
厚生労働省が公表しているフグによる食中毒は、次のとおりです(令和8年4月更新)。
- 令和3年:13件・患者19人・死者0人
- 令和4年:10件・患者11人・死者1人
- 令和5年:9件・患者10人・死者0人
- 令和6年:10件・患者10人・死者0人
- 令和7年:10件・患者15人・死者0人
家庭では、さばかない
厚生労働省は、フグの判別は素人には難しく、食べられる部位は種類によって違うため、素人判断や素人による取扱い・調理は危険としています。日本では、食べられる種類・漁獲場所・部位が決められていて、それに従うことが中毒予防の基本です。ふぐの処理には、都道府県の資格が必要です。この記事では、さばき方は説明しません。
筆者の体験メモ
- 除いた毒の保管と処分:取り除いた有毒部位の保管も大事です。私の店では、取引している魚屋が引き取ってくれます。ふつうの生ごみとして捨ててしまうと、人や犬・猫・カラスがあさって口にするおそれがあります
- 店で丸ごとさばく機会は少ない:私の知る限り、多くの店は除毒済みの「身欠き」を仕入れて使います。丸のままのふぐを店で解体・除毒する機会は、思ったより少ないです
※筆者個人の体験と考えです。法令や基準を示すものではありません。
確認問題(体験版の問題から)
ふぐ毒と調理の関係について、厚生労働省の資料の記述と合っているものはどれか。正しいものを一つ選びなさい。
- 十分に長い時間煮込めば分解されるので、鍋物にすれば毒は消える
- 水に長くさらすと溶け出すので、流水で洗えば毒は消える
- 塩もみをすると分解されるので、塩をまぶせば毒は消える
- 一般的な調理の加熱では分解されず、加熱しても毒は消えない
答え:4番目。リスクプロファイルは、テトロドトキシンは一般的な調理加熱では分解しないとしています。煮込み・水さらし・塩もみで毒が消えるという記述は、どれも誤りです。
よくある質問
Q. フグの毒は、どの部位にありますか?
A. 種類と部位によって違いますが、一般に肝臓・卵巣・皮の毒力が強いとされます。食べてよい部位は、筋肉・皮・精巣のうち、種類ごとに国の通知が決めています。
Q. トラフグの肝(肝臓)は食べられますか?
A. 食べられません。フグの肝臓は、天然か養殖かに関わらず、販売や提供が食品衛生法で禁止されています。
Q. フグの白子は、どのフグでも食べられますか?
A. いいえ。クサフグ・コモンフグ・ヒガンフグ・サンサイフグの精巣は食べられません。両性フグの生殖巣も、すべて有毒部位です。
Q. フグの皮は食べられますか?
A. 種類によります。皮が食べられるのは、トラフグ・カラス・シマフグなどの11種類です。
Q. フグの毒は、加熱すれば消えますか?
A. 消えません。塩もみ、水にさらす、加熱などの調理では、無毒化されないと厚生労働省は説明しています。
Q. フグ中毒の解毒剤はありますか?
A. 有効な治療法や解毒剤は、今のところないとされています。人工呼吸で呼吸を確保できれば、延命できるとされています。
公式情報
- 厚生労働省『フグの衛生確保について』(昭和58年環乳第59号。最終改正 令和2年生食発1012第4号)
- 厚生労働省『自然毒のリスクプロファイル:魚類:フグ毒』
- 厚生労働省『「フグの肝臓の食用禁止」に関するQ&A』
- 厚生労働省『フグによる食中毒発生状況』(令和8年4月更新)
- 厚生労働省『安全なフグを提供しましょう』
この記事は、国・都道府県とは関係なく独自にまとめたものです。食べられる種類と部位は、必ず厚生労働省の最新の通知で確認してください。
まとめ
- 毒は種類と部位で違い、一般に肝臓・卵巣・皮が強い
- 食べてよい部位は、筋肉・皮・精巣のうち種類ごとに決まっている。肝臓はどの種類でも不可
- 毒は、塩もみ・水さらし・加熱では消えない。解毒剤もない
- 家庭ではさばかない。ふぐの処理には都道府県の資格が必要



食べられる部位は、種類ごとに決まっているんですね。



そうだ。肝臓は、どの種類でも天然でも養殖でも出せない。



素人判断が危ないのも、よく分かりました。



ふぐを扱いたいなら、資格を取る。試験の中身は次の記事にあるぞ。




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