新人 けんた先輩、HACCPコーディネーターがいないと、店はHACCPができないんですか?



いや、法律で置く決まりはない。民間の団体の講座を修了して名乗る資格だ。



じゃあ、HACCPに沿った衛生管理って、うちみたいな小さな店でも必要ですか?



必要だ。ただ飲食店は、手引書に沿った『考え方を取り入れた衛生管理』でいい。
HACCPコーディネーターの取り方・費用・日程と、飲食店に必要な資格なのかを、実施団体と厚生労働省の公式情報(一次情報)だけで整理します。
この記事の要点
- 一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター(JHTC)の養成ワークショップを修了して登録する民間資格。試験に合格して取る資格ではない
- e-ラーニング(計9時間半程度)+東京の会場で2日間の演習。参加費は69,500円(税込・2026年度・登録費2万円を含む)
- 法律で置く義務はない。厚生労働省は、HACCPのために食品衛生責任者・食品衛生管理者以外の新たな有資格者は必要ないとしている
- 有効期限は3年で、更新にはレポートと更新会費2万円が必要。名前の似た「HACCP管理者」は別の団体の資格
※2026年10月3日時点の公式情報にもとづきます。
HACCPコーディネーターとは?
一般社団法人 日本HACCPトレーニングセンター(JHTC)が登録する民間資格です。JHTCは、HACCPコーディネーターを「いわゆるHACCP実務者」とし、食品企業のHACCPチームの一員として、HACCP計画の策定・運用・検証などに携わる人と説明しています。社外から加わるコンサルタントも含みます。
HACCP(ハサップ)は、食中毒菌や異物などの危害要因を把握し、特に重要な工程を管理して食品の安全を確保する衛生管理の手法です(厚生労働省の説明)。JHTCは1999年に設立され、同じ年から養成ワークショップを開いています。
HACCPコーディネーターの取り方
JHTCの「HACCPコーディネーター養成ワークショップ」を修了し、所定の申請書類を出して登録します。新規登録には顔写真の提出が必要で、認定カードに顔写真が載ります。


どんな人に向いている?
JHTCが求めるスキルは、前提条件プログラム、危害要因分析と必須管理点の決定、許容限界・モニタリング・是正措置、検証と記録などです。食品工場などで、HACCP計画を自分たちで作り、運用する立場の人に合った内容です。
飲食店に必要?法律との関係
2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が求められています(食品衛生法第51条。厚生労働省)。ただし、法律が求めているのは衛生管理の取り組みで、HACCPコーディネーターの資格ではありません。
厚生労働省のQ&A(最終改正:令和7年3月31日)は、HACCPに関する有資格者の設置が必要かという質問に、「新たな有資格者の設置は必要ありません」と答えています。必要なのは、これまでどおり食品衛生責任者(食品衛生管理者を置く施設では兼務できる)を定めることです。
飲食店は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよい
飲食店・喫茶店や、食品を扱う従業員が50人未満の事業場などの小規模事業者は、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよいとされています。業界団体が作り、厚生労働省が内容を確認した「手引書」を参考に、次のことを行えば対応できます。
- 手引書の解説を読み、自分の業種で何が危害要因になるかを理解する
- 手引書のひな形で衛生管理計画(必要なら手順書)を作り、従業員に伝える
- 手引書の記録様式で実施状況を記録し、推奨された期間保存する
- 記録を定期的に振り返り、必要に応じて計画を見直す
なお、小規模事業者でも、コーデックスの7原則に基づく「HACCPに基づく衛生管理」を行うことはできます(同Q&A)。自分で計画を作り込みたい人が学ぶ場の1つが、この資格のワークショップです。
資格の基本情報
| 名称 | HACCP コーディネーター |
|---|---|
| 資格区分 | 民間資格 (講座の修了と登録) |
| 認定団体 | 一般社団法人 日本HACCP トレーニングセンター (JHTC) |
| 取得方法 | 養成ワークショップを 修了し、登録を申請 |
| 受講資格 | e-ラーニングを 集合学習の5日前 までに終えること |
| 講座内容 | e-ラーニング (計9時間半程度) +集合学習2日間 |
| 受講費用 | 69,500円(税込) 登録費2万円を含む (2026年度) |
| 開催場所 | 東京都文京区の 研修センター (2026年度) |
| 合格率 | 公表なし |
| 有効期限 | 3年 (更新会費2万円) |
| 設置義務 | なし (法律で置く 決まりはない) |
| 公式情報 | HACCPコーディネーター とは?(JHTC) |
ワークショップの内容
2026年度の養成ワークショップは、e-ラーニングの基礎学習と、会場での集合学習2日間の組み合わせです(JHTCの案内)。
e-ラーニング基礎学習(計9時間半程度)
講義映像とテスト問題で、次の内容を学びます。テキストと副読本は、基礎学習の開講日に合わせて申込み時の住所に届きます。集合学習の5日前までに終えることが、集合学習の受講条件です。
- HACCPの歴史、食品衛生の一般原則、HACCP概観
- 前提条件プログラム、ハザード(危害要因)
- HACCPの適用(12手順)、食品衛生法制度化HACCP
集合学習(2日間のグループ演習)
- 1日目(9:00〜18:15):HACCP原則1・2(ハザード分析、必須管理点の決定)、書式Aの書き方、グループ演習と発表
- 2日目(9:00〜16:30):原則3〜5(許容限界・モニタリング・是正措置)、原則6・7(検証・記録)、書式B・Cの演習、HACCPのメインテナンス、修了証書の授与
演習でWeb上の共同編集を使うことがあるため、会場のWi-Fiにつながり、HDMI端子のあるノートパソコンを持参します。修了は全日程への参加が前提で、途中の欠席や頻繁な退出は演習の支障になると案内されています。



2日目の夕方に修了証書がもらえるんですね。試験に落ちる心配はないんですか?



合格ラインは公表されていない。まず、全日程に参加することが修了の前提だ。



e-ラーニングも9時間半くらいあるんですよね。仕込みの合間で終わるかな……。



期限は集合学習の5日前までだ。開講から約2か月あるが、早めに進めろよ。
日程と費用(2026年度・参考)
2026年度の集合学習は、東京都文京区本郷の研修センターで開かれます。定員は24名(同じ会社からは4名まで)で、20名に満たない場合は中止・延期になることがあります。2026年度の第87回・第88回の日程は次のとおりです(2026年10月3日に確認したJHTCの案内)。
| 第87回 | 集合学習 2026年11月11日(水) ・12日(木) 申込締切 10月5日(月) |
|---|---|
| 第88回 | 集合学習 2027年1月27日(水) ・28日(木) 申込締切 12月21日(月) |
申込みはJHTCのサイトのフォームから行い、締切日の前でも定員に達した時点で締め切られます。最新の募集状況はJHTCのワークショップのページで確かめてください。
費用:参加費69,500円と更新会費
- 参加費:1人69,500円(税込)。HACCPコーディネーターの登録費用2万円(不課税・3年有効)を含む
- 更新会費:3年ごとに2万円(不課税)
- キャンセル料:開催の前日〜17日前は受講費(参加費から登録費を引いた49,500円)の50%、当日・連絡なしは100%。それより前でも、教材の発送後やe-ラーニングへのログイン後は、教材費などがかかることがあります
JHTCは、同じプログラムを別の団体が主催する場合があり、参加費用や登録の扱いが違うことがあると案内しています。申し込む前に主催者を確かめましょう。
難易度・合格率
試験に合格して取る資格ではなく、合格率や合格基準は公表されていません。e-ラーニングにはテスト問題がありますが、その合格ラインも案内には書かれていません。
参考になる数字として、JHTCの組織ページには、登録中のHACCPコーディネーターが1,440名(2026年6月25日現在)と載っています。これまでの修了者の累計ではなく、登録を続けている人の数です。
勉強方法
過去問はありません。e-ラーニングと送られてくるテキスト・副読本(コーデックス規格の対訳)が教材です。集合学習では書式A〜Cを使ってHACCP計画を作る演習をするので、e-ラーニングの「HACCPの適用(12手順)」はしっかり理解しておきましょう。
飲食店で衛生管理を始めるなら、まずは厚生労働省の手引書(飲食店編のリーフレットや業種別の手引書)を読むのが近道です。
よくある質問
Q. 飲食店を開くのに、HACCPコーディネーターの資格は必要ですか?
A. 必要ありません。厚生労働省は、HACCPのために食品衛生責任者・食品衛生管理者以外の新たな有資格者を置く必要はないとしています。
Q. HACCPコーディネーターがいれば、食品衛生責任者はいりませんか?
A. いります。HACCPに沿った衛生管理が求められるお店も、食品衛生責任者を定めなければなりません(厚生労働省Q&A 問5)。食品衛生責任者になれる人は、調理師・栄養士などの資格を持つ人や、都道府県知事等が行う(または適正と認める)講習会を受けた人などと決められていて(食品衛生法施行規則 別表第十七 第一号ロ)、HACCPコーディネーターの名前はありません。
Q. オンラインだけで取れますか?
A. 2026年度の案内では、e-ラーニングのあと、東京の会場で2日間の集合学習があります。2026年度にオンラインで集合学習を行う案内は、JHTCのサイトで見当たりませんでした。
Q. 有効期限・更新はありますか?
A. 有効期限は3年です。更新には、3年間の取り組みのレポートと申請書類を出し、更新会費2万円(不課税)を払います。
Q. 「HACCP管理者」とは何が違いますか?
A. 別の団体の別の資格です。HACCP管理者は一般社団法人 日本食品保蔵科学会が会員を対象に認定するもので、JHTCのHACCPコーディネーターとは関係ありません。
公式情報
- HACCPコーディネーターとは?(日本HACCPトレーニングセンター)
- 第85〜88回HACCPコーディネーター養成ワークショップ(日本HACCPトレーニングセンター)
- JHTC会員登録・更新のご案内(日本HACCPトレーニングセンター)
- キャンセルポリシー(日本HACCPトレーニングセンター)
- HACCP(ハサップ)(厚生労働省)
- HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(厚生労働省)
- HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&A(厚生労働省)
- 食品衛生法(e-Gov法令検索)
- HACCP管理者資格認定制度と当学会について(日本食品保蔵科学会)
この記事は、日本HACCPトレーニングセンター・厚生労働省とは関係なく独自にまとめたものです。日程・費用・申込方法は、必ず実施団体の公式ページで確認してください。
まとめ
- HACCPコーディネーターは、JHTCの養成ワークショップを修了して登録する民間資格
- e-ラーニング(計9時間半程度)+東京で2日間の集合学習。参加費69,500円(税込・2026年度)
- 合格率は公表なし。有効期限は3年で、更新会費は2万円
- 法律で置く義務はない。飲食店は手引書に沿った「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」で対応できる
- HACCPに沿った衛生管理をするお店でも、食品衛生責任者は必要



飲食店ならこの資格は必須じゃなくて、手引書に沿った衛生管理が先なんですね。



そうだ。JHTCの定義では、HACCP計画の策定や運用に携わる実務者の資格だ。



店の衛生管理の土台として、食品衛生責任者や食中毒のことも学びたいです。



いい心がけだ。資格の一覧と、関係の深い記事を並べておくから読んでくれ。
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