新人 けんた先輩、食品衛生管理者って、自分の店を開くときに必要になる資格のことですか?



いや、それは食品衛生責任者だ。管理者はハムや粉乳などを作る工場に置く資格だ。



名前がそっくりで紛らわしいですね。管理者のほうが、責任者より上の資格なんですか?



上下ではなく別の制度だ。法律と厚労省の一次情報で、違いから整理していこう。
食品衛生管理者を置く施設・なる方法(資格要件)・登録講習会の内容と費用・食品衛生責任者との違いを、法令と厚生労働省・実施団体の公式情報(一次情報)だけで整理します。
この記事の要点
- 食肉製品・粉乳・食用油脂・マーガリン・添加物など、決められた食品を製造・加工する施設ごとに、専任で置く国家資格(食品衛生法第48条)。飲食店には要らない
- 国家試験はない。医師・薬剤師・獣医師、指定の学科の大学卒業、登録養成施設の修了、または「高卒以上+実務3年以上+登録講習会の修了」でなれる
- 登録講習会は国の最低基準で189〜205時間(施行規則の時間数を当サイトで合計)。受講料は283,800円(2026年・日本食品衛生協会)
- 飲食店で定める「食品衛生責任者」とは別の制度。食品衛生管理者の資格要件を満たす人は、講習なしで食品衛生責任者にもなれる
※2026年10月3日時点の公式情報にもとづきます。
食品衛生管理者とは?
食品衛生法第48条で、決められた食品や添加物を製造・加工する営業者が、施設ごとに専任で置かなければならない衛生管理の担当者です。製造・加工に携わる人が法律に違反しないよう監督し、衛生管理について営業者に必要な意見を述べます。営業者は、その意見を尊重しなければなりません。
調理師のように試験に合格して免許をもらう資格ではありません。法律で決められた資格要件を満たした人が、営業者に置かれて(任用されて)食品衛生管理者になります。
食品衛生管理者になる4つのルート
次のどれかに当てはまる人だけが、食品衛生管理者になれます(食品衛生法第48条第6項)。
- 医療系の免許:医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
- 大学の課程:大学などで医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学の課程を修めて卒業した人
- 養成施設:都道府県知事の登録を受けた養成施設(大学の学部・学科など)で、所定の課程を修了した人
- 登録講習会:高校卒業(同等以上を含む)で、食品衛生管理者を置く製造業・加工業で衛生管理の業務に3年以上従事し、都道府県知事の登録を受けた講習会を修了した人


どんな人がなる?
ハム・ソーセージ、粉ミルク、食用油、マーガリン、食品添加物などの工場で、衛生管理を担う人です。大学で該当する学科を学んだ人のほか、工場で経験を積んだ人が登録講習会を受けてなる道もあります。営業者本人が食品衛生管理者になることもできます(同法第48条第1項ただし書)。
資格の基本情報
| 名称 | 食品衛生管理者 |
|---|---|
| 資格区分 | 国家資格 (任用資格・ 国家試験はない) |
| 根拠法令 | 食品衛生法 第48条 |
| 置く施設 | 粉乳・食肉製品 ・食用油脂・ 添加物などの 製造・加工施設 |
| なる方法 | 医師・薬剤師など 指定学科の大学卒 登録養成施設 実務3年+講習会 |
| 講習時間 | 189〜205時間 (登録講習会・ 国の最低基準を 当サイトで合計) |
| 受講料 | 283,800円 (2026年・ 日本食品衛生協会) |
| 合格率 | 公表なし |
| 有効期限 | 法律に更新の 定めはない |
| 届出 | 営業者が15日以内 に都道府県知事へ |
| 公式情報 | 食品衛生管理者 (厚生労働省) |
食品衛生管理者が必要な施設
食品衛生管理者を置かなければならないのは、次の食品・添加物を製造または加工する施設です(食品衛生法施行令第13条)。
- 全粉乳(1,400グラム以下の缶に入れるものに限る)、加糖粉乳、調製粉乳
- 食肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)
- 魚肉ハム、魚肉ソーセージ
- 放射線照射食品
- 食用油脂(脱色または脱臭の工程を経て製造するものに限る)、マーガリン、ショートニング
- 添加物(食品衛生法第13条第1項で規格が定められたものに限る)
この中に飲食店(レストラン・居酒屋など)は入っていません。飲食店を開くのに必要なのは「食品衛生責任者」で、食品衛生管理者ではありません。
施設ごとに専任。隣り合う施設は1人でよい
食品衛生管理者は施設ごとに専任で置きます。ただし、同じ営業者が対象の製造業を2つ以上の施設で行い、その施設が隣り合っているときは、まとめて1人で足ります(食品衛生法第48条第2項)。



ハムやソーセージを作る工場なら、どこでも管理者が要るってことですか?



対象の食品を作る施設ごとに、専任で置く決まりだ。営業者本人がなる手もある。



じゃあ、うちみたいな料理屋には、食品衛生管理者は要らないってことですね。



飲食店は対象の食品に入っていない。店に要るのは、食品衛生責任者のほうだ。
食品衛生管理者になれる人(資格要件)
大学で畜産学・水産学・農芸化学を学んだ人
畜産学・水産学・農芸化学の「課程を修めて卒業した」かどうかは、学部の名前ではなく、決められた科目の単位をいくつ取ったかで判断します(厚生労働省通知・平成16年2月27日)。
- 畜産学:家畜育種学・家畜栄養学・畜産物利用学など13科目のうち11科目以上
- 水産学:水産資源学・水産物利用学など7科目のうち6科目以上
- 農芸化学:生物化学・応用微生物学・食品化学など10科目のうち8科目以上
登録養成施設を修了した人
養成施設として登録できるのは、大学(または大学に相当する教育を行う課程)です。指定の科目を含めて40単位以上を履修させることなどが基準になっています(食品衛生法施行規則第50条)。登録されている大学の学部・学科は、厚生労働省が「食品衛生管理者養成施設一覧」として公開しています(令和8年9月1日現在の版)。
工場で経験を積んで登録講習会を修了した人
大学に行っていない人の道です。条件は次の3つです(食品衛生法第48条第6項第4号)。
- 高校を卒業している(旧制の学校など、同等以上と認められる人を含む)
- 食品衛生管理者を置く製造業・加工業で、衛生管理の業務に3年以上従事した
- 都道府県知事の登録を受けた講習会(登録講習会)を修了した
このルートで資格を得た人は、実務を3年以上積んだ製造業・加工業と同じ種類の施設でしか、食品衛生管理者になれません(同条第7項)。たとえば食肉製品の工場で経験を積んだ人は、食肉製品の施設が対象です。
登録講習会の受講資格は実務2年以上です(食品衛生法施行規則第56条)。日本食品衛生協会は、講習前の経験も通算でき、3年に満たないまま受講した人は、修了後に通算3年を満たすまで資格を得られないと案内しています。
調理師・栄養士はなれる?
食品衛生法第48条第6項の資格要件に、調理師・製菓衛生師・栄養士・管理栄養士は入っていません。これらの資格だけでは食品衛生管理者になれず、上の4つのルートのどれかが必要です。
登録講習会の内容と修了試験
登録講習会の科目と最低時間数は、食品衛生法施行規則の別表第十六で決まっています。すべての分野に共通の「一般共通科目」が計132時間あります。
- 18時間:食品衛生法及び関係法令/食品、添加物等の規格基準/化学概論/細菌学序論/食品学(栄養学を含む)
- 15時間:食中毒学
- 9時間:公衆衛生概論/毒物学/施設における衛生管理


これに加えて、乳製品・食肉製品・魚肉ハム等・食用油脂・マーガリン等・添加物のどれか1つの分野の科目(細菌学実習・検査実習・施設見学など)を受けます。分野の科目は57〜73時間で、合計は189〜205時間です(別表第十六の時間数を当サイトで合計)。
講習会の終わりには試験を行うことになっています(同規則第56条)。日本食品衛生協会の2026年の講習(食肉製品)では、各科目の修了後と全課程の修了後に試験があり、全課程を終えると修了証明書が交付されます。
試験の合格率は?
厚生労働省・日本食品衛生協会・全国食肉学校のページで、登録講習会の合格率や合格基準の公表は見当たりません。
大学で学んだ科目は免除されることがある
大学で一般共通科目と同等以上の科目を履修した人は、その科目の受講が免除されることがあります(同規則第56条第2項。日本食品衛生協会は、免除した科目分の受講料も免除と案内)。



登録講習会も、食品衛生責任者の講習みたいに、1日で終わるものなんですか?



国の最低基準だけで約200時間ある。終わりに試験もあり、合格率は公表なしだ。



しかも工場での実務経験が3年以上いるんですよね。かなり本格的ですね。



それは講習会の道の話だ。受講は実務2年から、資格は通算3年を満たしてからだ。
登録講習会の日程・申込み(2026年に案内された日程・参考)
登録講習会は、実施者が都道府県知事の登録を受けて開きます。全国共通の日程はありません。2026年10月3日に厚生労働省のページで確認できた講習会は次のとおりです。日程は年ごとに変わるので、最新の日程は厚生労働省のページで確かめましょう。
- 食肉製品(日本食品衛生協会):eラーニング 2026年2月13日〜6月12日、集合形式 6月30日〜7月10日または7月7日〜7月17日(両方の受講が必要)。定員100名
- 添加物(日本食品衛生協会):eラーニング 2026年3月13日〜7月10日、集合形式 8月19日〜8月27日(両方の受講が必要)。定員110名
- 食肉製品(全国食肉学校):2027年2月1日〜3月4日。定員60名(群馬県の案内)
日本食品衛生協会の2026年の講習の集合形式の会場は、食肉製品が同協会の食品衛生研究所(東京都町田市)、添加物が昭和医科大学(東京都品川区)でした。乳製品・魚肉ハム等・食用油脂・マーガリン等の講習会は、このページには載っていませんでした。
申込みには、高校または大学の卒業証明書(専門学校・専修学校は対象外)、勤め先の雇用証明書、業務経験を積んだ施設の営業許可証のコピーなどが要ります(日本食品衛生協会の実施要領)。勤め先の協力が必要なので、早めに相談しましょう。
受講料(費用)はいくら?
| 日本食品 衛生協会 | 283,800円(税込) 2026年・食肉製品 と添加物の講習 |
|---|---|
| 全国食肉 学校 | 306,000円(税込) 2027年2〜3月の 食肉製品の講習 |
厚生労働省・日本食品衛生協会・群馬県の案内によります。日本食品衛生協会の受講料は教材・テキスト代を含み、会場までの交通費・宿泊費・食事代は含みません。
食品衛生責任者との違い
名前は似ていますが、別の制度です。厚生労働省も「「食品衛生管理者」は「食品衛生責任者」とは異なります」と案内しています。
- 決まり:管理者は食品衛生法第48条(法律)。責任者は食品衛生法施行規則の別表第十七(省令)
- 置く場所:管理者は粉乳・食肉製品・食用油脂・添加物などの製造・加工施設。責任者は飲食店・菓子店など、営業許可や届出が必要なほぼすべての施設
- なり方:管理者は医師・薬剤師・指定学科の大卒・養成施設、または実務3年+登録講習会(189〜205時間)。責任者は調理師・栄養士などの資格か、約6時間の養成講習会
- 費用:管理者の登録講習会は283,800円(2026年・日本食品衛生協会)。責任者の講習は地域で違い、東京12,000円など(2026年9月時点)
- 届出:管理者は営業者が15日以内に都道府県知事へ届け出る。責任者は営業許可の申請書・届出書に氏名を書く


上下の関係ではありませんが、つながりはあります。食品衛生管理者は食品衛生責任者を兼ねることができ、食品衛生管理者の資格要件を満たす人は、講習を受けずに食品衛生責任者になれます(食品衛生法施行規則 別表第十七)。逆に、食品衛生責任者の講習を受けても、食品衛生管理者にはなれません。


なったあと:届出・変更・有効期限
置いたら15日以内に届出
営業者は、食品衛生管理者を置いたとき(自分がなったときを含む)は、15日以内に施設の所在地の都道府県知事に届け出ます。食品衛生管理者を変えたときも同じです(食品衛生法第48条第8項)。厚生労働省は、届出先を「都道府県知事(保健所)」と案内しています。
届書には、食品衛生管理者の氏名・住所・生年月日や職務内容などを書き、履歴書、資格要件に当てはまることを証明する書面、営業者との関係を証明する書面を添えます(食品衛生法施行規則第49条)。
有効期限・更新は?
食品衛生法第48条に、有効期限や更新の定めはありません。ただし、なれる施設は資格を得たルートで変わります。登録講習会のルートで資格を得た人は、実務を積んだ業種と同じ種類の施設に限られます。
よくある質問
Q. 飲食店を開くのに食品衛生管理者は必要ですか?
A. 必要ありません。飲食店に置くのは食品衛生責任者です。食品衛生管理者は、粉乳・食肉製品などを製造・加工する施設に置きます。
Q. 食品衛生管理者に試験はありますか?独学で取れますか?
A. 国家試験はなく、独学だけで取る方法もありません。資格要件のどれかを満たす必要があり、登録講習会のルートでは講習の終わりに試験があります。
Q. 食品衛生管理者は食品衛生責任者を兼ねられますか?
A. 兼ねられます。食品衛生管理者の資格要件を満たす人は、講習なしで食品衛生責任者にもなれます。
Q. 調理師や栄養士の資格で食品衛生管理者になれますか?
A. なれません。食品衛生法第48条の資格要件に、調理師・栄養士は入っていません。
Q. 農学部を卒業していればなれますか?
A. 学部名ではなく、畜産学・水産学・農芸化学の決められた科目の単位をいくつ取ったかで判断されます(厚生労働省通知)。
Q. 登録講習会は何年の経験から受けられますか?
A. 対象の製造業での衛生管理の業務が2年以上で受講できます。資格を得るには、通算3年以上の経験が必要です。
Q. 登録講習会の費用はいくらですか?
A. 日本食品衛生協会の2026年の講習は283,800円(税込)、全国食肉学校の2027年2〜3月の講習は306,000円(税込)です。
Q. 食肉製品の講習で資格を得れば、乳製品の工場でもなれますか?
A. なれません。登録講習会のルートの人は、実務を3年以上積んだ業種と同じ種類の施設に限られます。
Q. 1人で複数の工場を担当できますか?
A. 原則は施設ごとに専任です。同じ営業者の隣り合う施設なら、1人で足ります。
公式情報
- 食品衛生法(e-Gov法令検索)
- 食品衛生法施行令(e-Gov法令検索)
- 食品衛生法施行規則(e-Gov法令検索)
- 食品衛生管理者(厚生労働省)
- 食品衛生管理者及び食品衛生監視員に係る資格要件の取扱いについて(厚生労働省通知)
- 公益社団法人日本食品衛生協会
- 食品衛生管理者登録講習会について(群馬県)
この記事は、国・都道府県・講習会の実施団体とは関係なく独自にまとめたものです。講習会の日程・受講料・受講資格は、必ず厚生労働省と実施団体の最新の案内で確認してください。
まとめ
- 食品衛生管理者は、粉乳・食肉製品・食用油脂・添加物などの製造・加工施設ごとに専任で置く国家資格。飲食店には要らない
- 国家試験はなく、医師・薬剤師など、指定学科の大学卒業、登録養成施設、実務3年+登録講習会のどれかでなれる
- 登録講習会は189〜205時間(国の最低基準を当サイトで合計)。受講料は283,800円(2026年・日本食品衛生協会)
- 講習会ルートの人は、実務を積んだ業種と同じ種類の施設でだけなれる
- 食品衛生責任者とは別の制度。管理者の資格要件を満たす人は、講習なしで責任者にもなれる



責任者は飲食店、管理者は決められた食品の工場。やっと区別がつきました。



そうだ。管理者の資格要件を満たす人は、講習なしで責任者にもなれるんだ。



店を開くなら、まずは責任者の取り方と食中毒のことを勉強しておきたいです。



いい心がけだ。資格の一覧や食品衛生責任者の記事があるから、続けて読んでくれ。
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