新人 けんた先輩、酒蔵やみそ蔵、ハム工場の腕前にも、国の検定があるって本当ですか?



本当だ。技能検定の酒造やみそ製造などの職種で、合格すると技能士と名乗れる。



じゃあ、毎年どこの県でも受けられるんですか?近いうちに受けてみたいんです。



そこが落とし穴だ。職種ごとに時期も実施する県も違うんだ。順に見ていこう。
酒造・ハム・ソーセージ・ベーコン製造・みそ製造・製麺・水産練り製品製造の技能検定について、職種ごとの等級・受検資格・令和8年度の実施時期と実施する都道府県を、法令と国・中央職業能力開発協会の公式情報(一次情報)だけで整理します。
この記事の要点
- 職業能力開発促進法にもとづく国家検定。実技と学科の両方に合格すると「〇級〇〇技能士」と名乗れる
- 試験は都道府県(都道府県職業能力開発協会)が実施。職種ごとに等級・時期・実施する都道府県が違う
- 令和8年度は酒造が前期、ハム・みそ・製麺が後期。後期の受付は令和8年10月5日〜16日。水産練り製品製造は令和8年度の実施なし
- 受検には原則として実務経験が必要(1級7年・2級2年・単一等級3年。学歴などで短くなる)
※2026年10月3日時点の公式情報にもとづきます。
食品製造の技能検定とは?
技能検定は、中央職業能力開発協会(JAVADA)が「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」と説明している制度です。職業能力開発促進法にもとづき、職種ごとに実技試験と学科試験で行われます。
合格すると「技能士」と名乗れます。名乗るときは「1級酒造技能士」のように職種と等級を表示し、合格していない人が技能士と名乗ることは法律で禁じられています(同法第50条)。
食品製造の主な職種と等級
職業能力開発促進法施行規則で、次のように等級が決められています(別表第十一の四・別表第十三の四)。
- 酒造:1級・2級(作業は清酒製造作業)
- ハム・ソーセージ・ベーコン製造:1級・2級・3級・基礎級
- みそ製造:1級・2級
- 製麺:単一等級(等級の区分なし。機械生麺・機械乾麺・手延べ干し麺の作業がある)
- 水産練り製品製造:1級・2級・3級・基礎級(作業はかまぼこ製品製造作業)
食品づくりの技能検定には、ほかにパン製造・菓子製造という別の職種もあります。1級と単一等級は「上級」、2級は「中級」、3級は「初級」の技能の程度とされています(JAVADA)。


資格の基本情報
| 名称 | 技能検定 (酒造・みそ製造 ・製麺など) |
|---|---|
| 資格区分 | 国家検定 (名称独占) |
| 根拠法令 | 職業能力開発 促進法 |
| 実施機関 | 都道府県 (受付・試験は 都道府県職業能力 開発協会) |
| 受検資格 | 原則、実務経験 1級7年・2級2年 単一等級3年 |
| 試験内容 | 実技試験 +学科試験 |
| 合格基準 | 原則、実技60点以上 学科65点以上 |
| 受検料 | 国の標準額 実技18,200円 学科3,100円 |
| 合格率 | 職種で異なる (下の「合格率」) |
| 公式情報 | 技能検定のご案内 (中央職業能力 開発協会) |
試験問題は中央職業能力開発協会が作り、試験は都道府県が行います。申込みの受付や試験の実施は、各都道府県の職業能力開発協会の担当です。中央職業能力開発協会は、受検申請の受付・試験の実施・合格発表を行っていません。
職種ごとの実施機関・等級・受検資格・令和8年度の実施
5つの職種は、どれも都道府県が実施する職種です(指定試験機関が行う職種ではありません)。実施する都道府県は中央職業能力開発協会の調べ(前期は令和8年3月3日現在、後期は令和8年9月1日現在)で、最新の状況は各都道府県の協会で確認してください。
酒造(清酒製造作業)
- 実施機関:都道府県(受付は都道府県職業能力開発協会)
- 等級:1級・2級
- 受検資格の要点:実務経験のみなら1級7年・2級2年
- 令和8年度の実施:前期(受付4月6日〜17日・学科試験9月6日・合格発表10月2日)。実施したのは北海道・青森・秋田・茨城・新潟・石川・兵庫・奈良・鳥取・山口・愛媛・高知の12道県と、埼玉(2級のみ)
ハム・ソーセージ・ベーコン製造
- 実施機関:都道府県(受付は都道府県職業能力開発協会)
- 等級:1級・2級・3級・基礎級。令和8年度の定期試験は1級・2級
- 受検資格の要点:1級7年・2級2年(実務経験のみの場合)
- 令和8年度の実施:後期。受付は令和8年10月5日〜16日、学科試験は令和9年1月24日(日)。実施予定は東京・大阪の2都府だけです
みそ製造
- 実施機関:都道府県(受付は都道府県職業能力開発協会)
- 等級:1級・2級
- 受検資格の要点:1級7年・2級2年(実務経験のみの場合)
- 令和8年度の実施:後期。受付は令和8年10月5日〜16日、学科試験は令和9年1月31日(日)。実施予定は青森・東京・新潟・富山・石川・長野・熊本・大分の8都県で、北海道は学科のみ
製麺
- 実施機関:都道府県(受付は都道府県職業能力開発協会)
- 等級:単一等級(合格証書は厚生労働大臣名)
- 受検資格の要点:実務経験3年。関係する学科を卒業した人は短くなる(高校卒業なら1年など)
- 令和8年度の実施:後期の機械乾麺製造作業だけ。受付は令和8年10月5日〜16日、学科試験と計画立案等作業試験は令和9年1月31日(日)。実施予定は長野・兵庫の2県です
製麺は年度によって作業が変わります。令和7年度は、前期に手延べ干し麺製造作業、後期に機械生麺製造作業が行われました。
水産練り製品製造(かまぼこ製品製造作業)
- 実施機関:都道府県(受付は都道府県職業能力開発協会)
- 等級:1級・2級・3級・基礎級
- 受検資格の要点:1級7年・2級2年(実務経験のみの場合)
- 令和8年度の実施:なし(前期・後期の実施職種一覧にありません)。令和7年度は後期に行われました
受検資格をもう少し詳しく
- 1級:実務経験7年。2級に合格した人は、その後2年で受けられる(施行規則第64条の2)
- 2級:実務経験2年。その職種に関する学科を卒業した人(大学・短大・高校、厚生労働大臣の指定などを受けた専修学校など)は実務経験なしで受けられる(同第64条の3)
- 単一等級:実務経験3年(同第64条の6)
- 3級:その職種の実務経験があれば受けられ、関係する学科の在学者も受けられる(同第64条の4)
実務経験には、現場の作業だけでなく、管理・監督・教育などの業務も含まれます(厚生労働省)。自分の学歴や経歴で何年必要かは、受検する都道府県の協会に確認しましょう。
試験の内容と合格基準
学科試験は、1級・2級・単一等級が真偽法と四肢択一法で50題・1時間40分、3級が真偽法30題・1時間です(JAVADA)。学科試験は職種・等級ごとに全国同じ日に行われます。実技試験の課題は原則として試験の前に公表されます(判断等試験・計画立案等作業試験は事前の公表なし)。令和8年度の実技の概要は次のとおりです。
- 酒造:精米歩合・こうじ・酒母の判定や、もろみの測定、きき酒による判定など(1級の試験時間2時間5分)
- ハム・ソーセージ・ベーコン製造:豚肩肉の整形、ソーセージのスライスと包装、ピックルの調製と、製品などを見分ける判断等試験(ソーセージなどの試食による判定もある)
- みそ製造:米みそ・麦みそ・豆みその原料・こうじ・みその品質の判定(2級は1種類を選ぶ。においや味による判定がある)
- 製麺(機械乾麺製造作業):麺帯の圧延や原料粉・加水率の判定などの判断等試験と、与えられた製造条件での機械の選び方や乾燥の工程などを問う計画立案等作業試験
学科の科目は職種ごとに決まっていて、たとえば酒造は清酒製造法・微生物及び酵素・化学一般・電気・関係法規(酒税法・食品衛生法など)・安全衛生です(施行規則 別表第十二)。科目ごとの出題割合は公表されていません。
合格基準は厚生労働省が定めていて、100点満点で原則実技60点以上・学科65点以上です。両方に合格しないと技能士にはなれません。片方だけ合格した人は、次からその試験の免除を受けられます(施行規則第65条など)。



ハムには試食、みそには味やにおいの判定もあるんですね。まさに舌が勝負だ!



判定の課題はあるが、学科も原則65点以上が要る。両方に合格して技能士だ。



片方だけ受かったら、次はまた両方とも受け直しですか?それは大変だなあ。



いや、合格した試験は次から免除を受けられる。細かい条件は協会で確かめろ。
日程・受検料
技能検定は前期と後期に分かれ、職種ごとにどちらで行うかが決まります。令和8年度の日程は次のとおりです(JAVADA「技能検定試験の日程」)。
| 前期 (酒造) | 受付 令和8年 4月6日〜17日 学科 9月6日 合格発表 10月2日 |
|---|---|
| 後期 (ハム・みそ ・製麺) | 受付 令和8年 10月5日〜16日 実技 12月4日〜 令和9年2月14日 学科 1月24日 または1月31日 合格発表 3月12日 |
実技試験はこの期間の中で行われます。自分の受検日は、受検する都道府県の協会で確認してください。前期の受付開始日は、都道府県の判断で前倒しになる場合があります。締切を過ぎた回には申し込めません。東京都の後期は郵送(簡易書留)だけの受付で、令和8年10月16日必着です。
受検手数料は職種ごとに各都道府県が定めます。国の標準金額は令和元年度から実技18,200円・学科3,100円です(JAVADA)。たとえば東京都の令和8年度後期は、実技18,200円・学科3,100円で、東京都では2級の実技が35歳未満なら9,200円になります。この減額は東京都の公告にある金額で、手数料は都道府県ごとに定められるため、ほかの地域は受検する協会で確認してください。
合格率と難易度
厚生労働省は、職種ごとの受検申請者数と合格者数を毎年公表しています(「技能検定」の実施状況)。合格率そのものは職種別には出ていないため、合格者数÷受検申請者数で当サイトが計算しました(厚生労働省が全体の合格率を出すのと同じ割り方)。
| 酒造 | 令和5年度 72.2% 令和6年度 59.0% 令和7年度 73.6% (令和7年度: 申請121人・合格89人) |
|---|---|
| みそ製造 | 令和6年度 57.3% (申請157人・合格90人 令和5・7年度は休止) |
| 製麺 | 令和5年度 61.3% 令和7年度 66.0% (令和7年度: 申請197人・合格130人 令和6年度は休止) |


どれも1級・2級(製麺は作業の違い)を合わせた数で、等級別の合格率は公表されていません。受検申請者には、学科か実技の片方だけを受ける人も含まれます。
ハム・ソーセージ・ベーコン製造と水産練り製品製造は、技能実習の対象職種です。職種別の数には、技能実習生などを対象とした随時の試験や基礎級も含まれるため、1級・2級の合格率として割合は出しません。令和7年度の人数(全等級・随時試験を含む合計)は、ハムが受検申請者1,802人・合格者1,055人、水産練り製品製造が1,118人・613人でした。
難易度はどのくらい?
受検には実務経験が要るため、受ける人の多くはその仕事の経験者です。計算した割合は、経験者どうしの中での数字として見てください。公式の勉強時間の目安はありません。
勉強方法と過去問
学科の範囲は、職業能力開発促進法施行規則の別表に職種ごとに書かれています。まず自分の職種の科目を確かめ、実技は公表される課題の概要に沿って、ふだんの仕事の中で練習するのが基本です。
過去問はどこで見られる?
中央職業能力開発協会の技能検定試験問題公開サイトで、定期試験の問題(令和5年度前期〜令和7年度後期)が公開されています。著作権で保護されていて閲覧のみで、複製や二次使用は禁止されています。学科試験の正解は、同協会の「計画立案等作業試験・学科試験正解」のページに載ります。
よくある質問
Q. 自分の県で実施がないときは、ほかの県で受けられますか?
A. 申込みは受検する都道府県の協会に行います。県外の人が受けられるかなどの条件は、受けたい都道府県の協会に確認してください。
Q. 合格すると、何と名乗れますか?
A. 「2級みそ製造技能士」のように職種と等級を付けて名乗ります(製麺は等級なしで「製麺技能士」)。合格していない人が技能士と名乗ることは法律で禁じられています。
Q. 合格証書は誰の名前で出ますか?
A. 1級と単一等級は厚生労働大臣名、2級と3級は都道府県知事名です。
Q. 水産練り製品製造は、次はいつ受けられますか?
A. 令和8年度の実施職種一覧にはありません(令和7年度は後期に実施)。実施する年度は、中央職業能力開発協会の実施職種一覧で確認してください。
Q. 学科か実技の片方だけ合格したら?
A. 次からその試験の免除を受けられ、残りの試験に合格すれば技能士になれます。
公式情報
- 職業能力開発促進法(e-Gov法令検索)
- 職業能力開発促進法施行規則(e-Gov法令検索)
- 技能検定のご案内(中央職業能力開発協会)
- 技能検定試験の日程(中央職業能力開発協会)
- 実施職種・試験概要(中央職業能力開発協会)
- 各都道府県実施公示状況(中央職業能力開発協会)
- 受検資格(厚生労働省)
- 「技能検定」の実施状況(厚生労働省 技のとびら)
- 技能検定試験問題公開サイト(中央職業能力開発協会)
この記事は、国・都道府県・職業能力開発協会とは関係なく独自にまとめたものです。実施する職種・日程・受検手数料は、必ず受検する都道府県の協会で確認してください。
まとめ
- 酒造・ハム・みそ・製麺・水産練り製品製造などの技能検定は国家検定で、合格すると技能士と名乗れる
- 試験は都道府県が実施。職種ごとに等級・時期・実施する都道府県が違う
- 令和8年度は酒造が前期、ハム・みそ・製麺が後期(受付は令和8年10月5日〜16日)。水産練り製品製造はなし
- 受検には原則として実務経験が必要。合格は実技60点以上・学科65点以上(原則)の両方



うちの県で自分の職種の実施があるか、まずは協会のページで調べてみます!



それがいい。受付の期間は短いから、その年度の公示を見逃さないようにな。



酒造の検定を目指すなら、お酒全体の知識も今のうちに広げておきたいです。



いい心がけだ。お酒の種類や資格の一覧の記事があるから、続けて読んでくれ。
次に読む記事

















