新人 けんた先輩、海外のお客さんに日本酒を説明したくて。WSETの日本酒資格ってどうですか?



英国WSETの資格で3段階ある。講座と試験は、WSETが承認した学校で受ける。



英語がそこまで得意じゃないんです。それに、いきなり上のレベルからは無理ですよね?



どのレベルにも前提資格はない。言語や時間も含めて、WSETの公式情報で整理しよう。
WSET Award in Sake(Level 1〜3)の仕組み・受講資格・学習時間・試験形式・合格基準を、WSET本部が公開している英語の公式ページと資格の仕様書(Specification)だけで整理します。
この記事の要点
- 英国の酒類教育団体WSETの日本酒資格。講座と試験は、WSETが承認した世界の講座提供者(APP)が行う
- どのレベルにも前提資格はない。下のレベルは「推奨」で、Level 3からでも申し込める(試飲は20歳以上)
- WSETが示す最低の学習時間は、Level 1が6時間・Level 2が26時間・Level 3が42.25時間
- 受講料・日程・受講言語は提供校ごとに違う。講座ページの言語欄では、日本語はLevel 1・2にあり、Level 3にはない
※2026年10月3日時点の公式情報にもとづきます。
WSET Award in Sakeとは?
WSET®(Wine & Spirit Education Trust)は、ロンドンに登録事務所を置く英国の登録チャリティ(No.313766)です。ワイン・スピリッツ・ビールなどとならんで、日本酒の資格を「Award in Sake」としてLevel 1〜3の3段階で設けています。
WSETは自らを、資格を作り試験の品質を管理する「awarding organisation(試験機関)」と説明しています。講座と試験を行うのは、WSETが承認した講座提供者(Approved Programme Providers=APP)です。WSETによれば、APPは70か国以上に800以上あり、多くは一般の人も受講できます。
WSETによると、レベル1〜3の日本酒資格は、イングランドの資格・試験の監督機関Ofqualの規制を受けています。一方で、英国以外の公的な資格の枠組みには入っておらず、日本の国家資格ではありません。就職や昇進を保証するものでもないと明記されています。
資格を取るまでの流れ
- 講座提供者を探す:WSET公式の「Where to study」で、地域・科目(Sake)・レベル・受講方法(オンライン/教室)から絞り込める
- 講座を受ける:日程・受講料・言語は提供校ごと。Level 3は受講の前に2週間のオンライン事前学習がある
- 試験を受ける:試験も提供校で行う
- 結果・認定証を受け取る:WSETは結果を提供校に送り、提供校から受講者に伝える


どんな人に向いている?
WSETの仕様書では、Level 1は日本酒の知識がほとんどない人(小売や飲食で、ほかのお酒と一緒に日本酒を扱う人など)向けです。Level 2は初心者から仕事・趣味で関心のある人まで、Level 3は日本酒の品質や商品としての価値を評価する立場の人に向けています。
資格の基本情報
| 名称 | WSET Award in Sake (Level 1〜3) |
|---|---|
| 資格区分 | 海外団体の資格 (日本の国家資格 ではない) |
| 実施団体 | WSET(英国) 講座・試験は 承認講座提供者 |
| 受講資格 | 前提資格なし (試飲は20歳以上) |
| 学習時間 | L1:6時間 L2:26時間 L3:42.25時間 (WSETの最低時間) |
| 試験内容 | L1・L2:選択式 L3:選択式+記述式 +テイスティング |
| 合格基準 | L1:70%以上 L2:55%以上 L3:3つの試験 すべて55%以上 |
| 受講料 | 提供校ごとに異なる |
| 合格率 | 公表なし |
| 公式情報 | Where to study (WSET) |
受講資格:前提資格はなく、どのレベルからでも
Level 1〜3のどの講座ページにも「There are no entry requirements」(受講の条件はない)と書かれています。下のレベルの修了は、上のレベルへ進む前に推奨されているだけで、必須ではありません。ただし条件は提供校によって変わることがある、とも書かれています。
- 試飲の年齢:講座で試飲できるのは、その国で飲酒できる年齢以上の人(日本なら20歳以上)。仕様書によると、試験を受けるのも原則はこの年齢以上で、全日制の課程の一環か保護者の同意がある場合は例外です
- Level 1・2:試飲できなくても資格は取れる
- Level 3:試飲できない人はUnit 2(テイスティング試験)を受けられない。Unit 1に合格しても記録の証明だけで、Level 3の資格は出ない
- Level 3の英語力:英語が母語でない人が英語で受けるなら、IELTS 6.5以上かそれと同じ程度の力を強く勧めている
日本語で受けられる?
各レベルの講座ページにある言語の欄(2026年10月3日時点)では、日本語はLevel 1とLevel 2にあり、Level 3は英語と繁体字中国語だけです。Level 2のページには「現在は英語のみ」という一文も残っていて、表示が食い違っています。WSETの日本語ページも、受講できるコースや日程は提供者に直接問い合わせるよう案内しています。申し込む前に、受講言語と試験の言語を提供校で確かめましょう。
レベルごとの学習時間・試験形式・合格基準
学習時間は、WSETが「最低限これだけは必要」と示している時間です。提供校での授業の進め方は学校によって違います。


Level 1:日本酒の入門
- 学ぶこと:日本酒の原料と造りの基本、主な種類と等級(純米・吟醸・大吟醸など)、提供のしかた、香りと味に影響すること
- 学習時間:最低6時間(すべて提供校での学習で、試験45分を含む)
- 試験:持ち込み不可の選択式30問・45分。誤答の減点なし
- 合格基準:70%以上(30問中21問以上)
Level 2:原料と造りから酒質を理解する
- 学ぶこと:原料(米の品種を含む)、蒸米と麹の造り、精米歩合、酛から瓶詰めまでの工程、ラベル用語(日本語の表記を含む)、品質の評価のしかた
- 学習時間:最低26時間(提供校での学習14時間・自習11時間・試験1時間)
- 試験:持ち込み不可の選択式50問・60分。オンラインと会場の両方で行うとされている
- 合格基準:55%以上(50問中28問以上)。70%以上は「Pass with Merit」、85%以上は「Pass with Distinction」
Level 3:筆記とブラインドテイスティング
- 学ぶこと:造りの技法と酒質への影響、主な分類と特殊な分類、日本と輸出市場での日本酒の位置づけ、保管・選び方・提供、品質や価格帯の評価を伴うテイスティング
- 学習時間:最低42.25時間(うち提供校での授業16時間)。受講の前に2週間のオンライン事前学習がある。2022年版の仕様書では42時間40分とされている
- Unit 1(理論):選択式50問と、短い記述式(5点×4問・10点×2問・20点×1問)。合わせて1時間40分
- Unit 2(テイスティング):2種類の日本酒のブラインドテイスティング・30分
- 合格基準:選択式・記述式・テイスティングの3つすべてで55%以上。1つでも届かないと合格にならない。成績は3つの平均で決まり、平均80%以上かつどれも65%以上なら「Pass with Distinction」
Level 3は、Unit 1とUnit 2を同じ回で受けるのが原則です。片方に合格している人だけが、もう片方を単独で受け直せます。どのレベルも再受験の回数に上限はありませんが、合格した人が成績を上げるために受け直すことはできません。



Level 3は、筆記とテイスティングの合計で55%取ればいいんですよね?



合計じゃない。選択式・記述式・テイスティングの3つ、それぞれで55%以上が要る。



じゃあテイスティングが苦手だと、筆記が満点でも資格は取れないんですね。



そうだ。ただ筆記とテイスティングのうち、受かった方は受け直さなくていい。
日程・受講料
WSET本部は、講座の日程や受講料を一覧では出していません。どちらも提供校ごとに決まります。Level 2の講座ページでは、提供校が「連続した日・週ごと・夜間」などさまざまな形で講座を組めると説明しています。
講座を探すときは、WSET公式のWhere to studyで「Asia」「Sake」とレベルを選び、オンラインか教室かで絞り込みます。日程・受講料・試験の言語は、気になる提供校に直接問い合わせましょう。
合格率と難易度
WSETの公式サイト(講座ページ・よくある質問・仕様書)で、合格率の公表は見当たりません。合格の目安になるのは、上に書いた合格基準と学習時間です。
Level 1は合格ラインが70%と高めで、Level 2・3は55%です。Level 3は記述式とテイスティングが加わり、3つのどれか1つでも55%に届かないと不合格になる点が、ほかのレベルとの大きな違いです。
勉強方法
試験は、仕様書に書かれた「学習成果(Learning Outcomes)」から出題されます。仕様書には分野ごとの出題数も載っています。
- Level 1:原料と造り10問・種類と等級15問・保管と提供5問
- Level 2:造りの工程と酒質25問・種類と等級20問・保管・提供・料理との組み合わせ5問
- Level 3:選択式は造り20問・種類と等級20問・業界と市場5問・情報提供と助言5問。記述式60点のうち55点は造りと種類・等級から
どのレベルも、造りと種類・等級の比重が大きいことが分かります。過去問は公開されていません(Level 1の仕様書)。Level 1の仕様書には、見本問題が5問載っています。Level 2の推奨教材は「Sake: Looking behind the label」です。
テイスティングは、WSET独自の「Systematic Approach to Tasting Sake®(SAT)」という決まった手順で表現します。レベルごとのSATは、各講座ページから仕様書と一緒に確認できます。
よくある質問
Q. Level 1を飛ばして、Level 2や3から受けられますか?
A. 受けられます。どのレベルにも前提資格はなく、下のレベルは推奨です。Level 3は、今の知識で合うかを提供校と相談するよう仕様書が勧めています。
Q. 日本語で受けられますか?
A. 講座ページの言語欄(2026年10月3日時点)では、日本語はLevel 1・2にあり、Level 3にはありません。実際の受講言語は提供校で確かめてください。
Q. 合格率はどのくらいですか?
A. WSETの公式サイトでは公表されていません。合格基準はLevel 1が70%以上、Level 2・3が55%以上です。
Q. 不合格だったら、何回でも受け直せますか?
A. 仕様書では、再受験の回数に上限はありません。Level 3は、合格した方の試験を受け直す必要はありません。
Q. 唎酒師(利き酒師)とはどう違いますか?
A. 唎酒師は日本の日本酒サービス研究会(SSI)の資格で、運営団体も試験の仕組みも別です。WSETには前提資格がないので、唎酒師を持っていなくても受けられます。
Q. 合格したら、どんな証明がもらえますか?
A. 結果と認定証は提供校を通じて届きます。WSETにはデジタル認定証の仕組みもあり、雇用主などがオンラインで確かめられます。
公式情報
- WSET Level 1 Award in Sake(WSET・英語)
- WSET Level 2 Award in Sake(WSET・英語)
- WSET Level 3 Award in Sake(WSET・英語)
- Where to study:講座提供者を探す(WSET・英語)
- 日本語で受講できるコース・プロバイダー(WSET)
- WSET, an awarding organisation(WSET・英語)
- WSET FAQs(WSET・英語)
この記事は、WSETや講座提供者とは関係なく、WSETの英語の公式情報をもとに独自にまとめたものです。日程・受講料・受講言語は、必ず各講座提供者で確認してください。
まとめ
- WSET Award in Sakeは英国WSETの日本酒資格(Level 1〜3)。日本の国家資格ではない
- 講座と試験はWSETが承認した講座提供者が行う。日程・受講料・言語は提供校ごと
- 前提資格はなく、どのレベルからでも申し込める。試飲は20歳以上
- 合格基準はLevel 1が70%以上、Level 2・3が55%以上。Level 3は3つの試験すべてで55%以上が必要
- 合格率は公表なし。講座ページの言語欄では、日本語はLevel 1・2のみ



まずはLevel 1か2を日本語で受けて、慣れたら英語でLevel 3に挑戦します!



順番はいい。ただ英語のLevel 3は、IELTS 6.5程度の力が勧められている。



国内の日本酒やワインの資格とも比べて、自分に合うものを選びたいです。



それなら資格の一覧と、唎酒師・ソムリエの記事も続けて読んでおくといい。
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